増加する振り込め詐欺などの特殊詐欺被害に対し、茅ケ崎警察署は4月から、県内初となる「特殊詐欺対策プロジェクト」を立ち上げた。抑止・検挙の両輪捜査と人員増強で、茅ヶ崎市・寒川町の被害を撲滅する構えだ。
「特殊詐欺対策プロジェクト」は、担当に限らず課をまたいで人員を集めたチーム。現在、県内各署内に設置されている特殊詐欺撲滅対策推進本部とは別に、独自の捜査を展開している。
県内初となったプロジェクト立ち上げの背景には、同署管内の詐欺被害が昨年、県内ワースト2位を記録するなど、年々被害が拡大していることが上げられる。今年3月までは件数・被害額ともに昨年を下回ったが、4月から急増。寒川町では、複数の犯人が役割を演じる「劇場型オレオレ詐欺」で70代の女性が2750万円を騙し取られる事件が発生した。
同署の詐欺被害対策司令塔の板垣武志副署長(50)は、「犯人グループは効率化のため、狙いを定めた地域で複数の犯罪を起こす傾向がある。茅ケ崎署管内は狙われており、油断ならない状況」と警鐘を鳴らす。
既に逮捕者も
被害者の多くが振り込め詐欺について知っていたにも関わらず騙されてしまったことなどから、「これまでの捜査方法だけでは限界があった」と板垣副署長は振り返る。
同署では防犯の呼びかけや全件通報など抑止策を重視してきた。全件通報とは、高齢者が高額の引き出しを行った場合に、銀行などの金融機関がすべて警察に通報する対策。同署管内では1日5〜6件の通報があり、月1、2件が直接防止につながっている。
しかし抑止対策は、周囲の人が気付く以外に捜査のきっかけがつかみづらい。寒川の事件発生時には、全件通報自体が無く、後手に回ることも少なくなかった。
新プロジェクトでは、「騙されたふり作戦」など、詐欺グループ被疑者を積極的に検挙する捜査を行う。4月20日までに、おとり捜査で1人の被疑者を逮捕し、今も数人の犯人を追っている。同署は「対策チームの存在自体も抑止になる。地域の方にも、普段と違う出来事は周囲に相談するなどして、犯罪者に狙われない地域づくりにご協力頂ければ」と呼びかけた。
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