茅ヶ崎市では90歳のドライバーが歩行者をはねて死傷させた事故が5月に発生し、高齢ドライバーによる交通事故が全国で相次ぐなか、運転免許の自主返納制度が改めて注目を浴びている。警察署や行政、民間企業の取り組み、実際に免許を返納した人の声などを届ける。
茅ケ崎警察署(山口達夫署長)管内では、今年1月から5月末までに人身交通事故が245件発生しており、そのうち65歳以上が関係する事故は92件で全体の37・6%を占める。過去5年間でも30%台を推移していたが、今年は中でも1番高いパーセンテージとなった。
「本人や家族も葛藤」
茅ケ崎署によると、管内の運転免許保有者数は18万2547人で、65歳以上は約2割の3万6905人。今年に入り266人が運転免許の自主返納をしている(ともに今年5月末現在)。
高齢者に返納を促す声が高まる一方、本人や家族もさまざまな葛藤があり、気持ちに寄り添うことを忘れてはならない。
昨春免許を返納した87歳の父を持つ共恵在住の59歳の女性は、父が80歳を過ぎた頃から返納を促してきた。しかし、直接的に「運転をやめて」と言えば、楽しみを奪ってしまうと苦悩していたという。そこで事故のニュースを伝えたり、事故を起こすと家族にも負担をかけることになると諭し、返納へと導いた。
また、室田在住の91歳の男性は、家族のすすめや自らも「何かあってからでは遅い」と感じながらも、生活に車が必要なため返納を迷っているという。
免許を自主返納すると、公的な身分証明書として使用できる「運転経歴証明書」を申請することができる。同書を提示すれば、神奈川県内の企業や小売店でさまざまな優待サービスを受けられるが、茅ヶ崎市内ではまだまだ少なく、「もっと充実させて」といった声も聞かれた。
同署では、市と連携して高齢者向けの運転講習会を今年も9月頃に京急自動車学校茅ヶ崎校を会場に行う。詳細は8月15日発行の広報紙で紹介される。
山口署長は「年齢を重ねるごとに判断力などは確実に低下していく。悲惨な事故を起こす前に返納を真剣に検討していただきたい」と話している。
|
|
<PR>
茅ヶ崎・寒川版のローカルニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
<PR>