中央省庁による障害者雇用数水増し問題。神奈川県でも再調査が行われ、知事部局の障害者雇用率が3・22%から3・06%に下がったと8月30日に発表された。茅ヶ崎市では数字に不備は無かったが、6月1日時点で雇用率は2・33%と法定雇用率2・50%を下回る状況だ。現在、市では職員課を中心に障害者雇用改善に対する独自の取り組みを続けている。
茅ヶ崎市は、約10年前から職員採用に障害者雇用枠を設けている。業務内容は基本的に健常者と区別なく、特性に応じ仕事の割り振りなどを配慮する。障害者専用の仕事に取り組むワークステーションなどは設けていない。職員課は「本来、得意不得意などは雇用形態に関係なく配慮し合うべきものとして、あえて“障害者雇用=特別扱い”とはしていない」と説明する。
現在同課では、来年度の法定雇用率達成を一つの目標に、採用強化と合わせ、庁内全体の障害者受け入れに対する意識と体制の「改革」に力を入れている。背景には離職の懸念がある。体制が整わない状態で大量採用をしても、結局継続雇用にはつながりにくい。「満たすべき数字に向けての努力はもちろんですが、数字自体が本来の目的ではない」と職員たちは力を込める。
庁内全部署対象に研修を実施
取り組みの一つが、障害福祉課と協同で行う庁内全部署を対象とした研修だ。今年度は初めて庁内で働く人を招いた講演を実施した。障害に対するネガティブイメージを払拭し、フラットな考えを広める目的があった。インタビュアーを務めた職員課の石井祐司さん(41)は「講演者が障害を持っていると知らなかった、といった感想もあった。関心がなかったわけではなく、自然に溶け込んでいたことの現れでは」と分析する。
障害に限らず、多種多様の職員が働く環境において、重要なのは、お互いの考えを話し合える信頼関係作りだ。「働く仲間同士、何に困っているのか周りに相談できる関係、互いの特徴や個性を尊重し合える関係が大切なのでは」(石井さん)
市庁舎の障害者雇用率は、少しずつ向上している。27年度は2・01%、28年度は保健所の設置などで1・83%まで後退したが、29年は2・24%まで向上した。「誰しもが働きやすい環境を目指し、取り組みを続けたい」と石井さんは笑顔を見せた。
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