市民になじみのある茅ヶ崎海岸沿いのサイクリングロード。台風などで砂が巻き上げられ、スムーズに通行できないことが多々ある。それを野球のグラウンド整備で行われる「トンボ掛け」を用いて通りやすくする活動が、地域団体「砂山とんぼ」をきっかけに広がっている。
きっかけは今年1月。建築士の久保田恵子さん=下町屋在住=が砂浜に「トンボ」が置かれていることに気付き、砂に覆われたサイクリングロードを通りやすくしようとトンボ掛けを行った。「少しやっただけでも快適になり、何だか楽しかった」
この「トンボ」は、県藤沢土木事務所が藤沢から柳島までの海岸約7・7Kmに数十個を設置しているもの。久保田さんのように、市民が気になった箇所に使うもので、行政職員が現場の整備に用いることもある。
久保田さんはその日の体験をSNS上に投稿。すると友人の郡恵美さん=南湖在住=らから共感を得た。活動を広めようと海岸の調査や情報共有を開始し、「砂山とんぼ」と名前を付けた。久保田さんが代表、郡さんが副代表に。さらに「愛着を持てるようトンボ自体も手作りしよう」と、地元の工務店や家具店に声を掛けて廃材を提供してもらい、手作りのトンボをこれまでに数十本製作。色を塗ってカラフルに仕上げたものもあり、「おしゃれに楽しく」というコンセプトも形にしていった。
9月に活動した際には、「トンボ掛け」を普段部活動で行っている西浜中学校と第一中学校のソフトボール部も協力。「すごく楽しかった」「達成感があった」と声が上がったという。
「できる人ができる時に」
海岸の砂に対して、県藤沢土木事務所では、外注した業者による週2回の巡回と、月7回の重機を使った砂を海岸に戻す作業を行っている。戻した砂の量は、昨年1年で9000㎥。このほか、「竹ず柵」を設置し砂を防いでいる。それでも日々吹く風に対して、細かな部分には手が届かないこともあるという。同所なぎさ港湾課の細川順一課長は「普段海に親しんでいる市民の方たちによる、こういった活動はありがたい」と話す。
郡さんは「できる人ができる時に。無理なく輪が広がってほしい」と言い、久保田さんは「海岸を訪れる誰もが、『ちょっとトンボ掛けしてみよう』くらいの軽い気持ちで、楽しみながらできるレジャーのようにしていければ」と今後の展望を語った。
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