市内避難所で雨の吹き込みを毛布で協力して防ぐ=10/12午後7時40分頃
東日本を中心に甚大な被害をもたらした台風19号。市内では相模川の水位上昇に備え、小・中学校などが開放され、過去最多となる8378人が避難した。市の想定によると、相模川で大規模な洪水が発生した場合、西側エリアを中心におよそ4分の1が浸水するおそれがある。「ハザードマップ」などを活用した備えが求められている。
台風19号に際し、公立小学校と中学校の全32校のほかに、茅ケ崎西浜高、鶴嶺高、(株)アルバックとアルバックテクノ(株)、ハマミーナ、山治ビルが避難所として開設。市は台風接近に備えて金曜日の11日に災害対策本部を設置し、翌12日の朝6時から避難所を開けることを市のホームページなどで発信した。
そして12日、避難所を開設した6時に洪水と土砂災害を想定し、柳島や萩園、高田、香川、堤など市内4分の1ほどの地域を対象に『避難勧告』が発令された。今年6月から、国や自治体が発表する気象・避難情報によって5段階に分けられた警戒レベル=右表=で言えば、避難勧告は”レベル4”。対象地域は『全員避難』となり、避難所には着替えや食事を持った人々が続々と訪れた。
避難所以外に知人宅も選択肢
さらに、城山ダムの緊急放流の情報が流れた後の午後3時40分、同じく警戒レベル4の『避難指示(緊急)』が発令。この段階で外は暴風雨にさらされており、市防災対策課は「避難指示だからと言って、必ずしも避難所に向かってほしいわけではありません。屋内の上の階(垂直避難)や、浸水のおそれがない親戚や友人宅でも構いません」。避難所という選択肢であれば、『避難指示』より前の『避難勧告』が発令された時点での行動が望ましく、「レベル4ならすぐ避難を」と市防災対策課。実際には『避難指示』後に避難所へ向かった人々もおり、下町屋在住の一家は「ずぶ濡れになりながら鶴嶺小まで歩いた。高齢者もいたが、車で行ってよかったとは知らなかった」。
初めて避難した人からは、こんな声も聞こえてきた。「車はいいの?」「ペットは入れる?」「食料はどのくらい必要?」…。市によると、避難所への駐車は原則不可だが、高齢者や障がい者、小さい子どもがいる場合などは構わない。ペットに関しては、ケージ(ペット用のかご)を条件にすべての小・中学校で受け入れる。食料は各自持参。備蓄が避難所にあるものの限りがあり、「ハザードマップで自宅の浸水継続時間を参考にしてほしい」と市の担当者は話す。例えば、「12時間以上1日未満」であれば、3〜4回分を準備する必要がある。避難所は毛布が用意されたが、「下に敷いたので、持参したタオルを掛けました」(南湖・50代女性)。
避難計画立てられる「マイ・タイムライン」
ハザードマップには浸水や土砂災害が想定される場所を確認できるほか、避難所、災害情報の入手方法などが掲載されている。またハザードマップの情報を参考に、家庭ごとの避難計画が立てられる用紙「マイ・タイムライン」=右上=が市のホームページにはある。「いつ、どこに、どうやって避難するのか事前に考えておいてほしい」(市防災対策課)。自然災害への備えが引き続き求められている。