9月21日は「世界アルツハイマーデー」。新型コロナ流行の影響で高齢者の外出自粛が進んだ中、認知症への悪影響が叫ばれている。認知症に詳しい大木医院(高田)の大木教久院長(56)に現状と対策を聞いた。
「まず、当院では初診に来られる方が3割から4割ほど減少しました」と大木院長。高齢化社会が進む日本で、認知症の患者数のピークは2025年から35年とされる。新型コロナが流行する以前は右肩上がりであった初診患者がこれほど減ってしまうのは異常な事態だという。
認知症には薬物療法と、運動やセラピーなどの非薬物療法の両輪で治療に当たる。そのどちらも医師の適切な診断が必要になるが、外出自粛の影響で、”通院したがらない”患者が増えてきた。
ある事例では、それまで定期的に通院していた男性が、昨年末から通院を止めてしまった。その後も来院を勧めたが、介護者である妻も「コロナにかかるのが不安」と話し、足が遠のいてしまった。寝たきりになってしまい、発覚した時には、男性は歩行困難で救急搬送された。
その家庭では介護保険の認定を受けておらず、介護者である家族の負担が増え、必要な判断ができない状態にあった。大木院長は、「このケースでは第三者の目が入らなかったことが大きな要因。もし、ケアマネージャーが訪問するなど機会があれば状況は違っていただろう」と指摘する。
かかりつけ医に相談を
茅ヶ崎市では、認知症サポート医や認知症家族の会らが協力し、利用できる市内のサービスなどをまとめた「茅ヶ崎市認知症あんしんガイド」を発行。行政や医療機関などが連携し、適切な相談先につなぐネットワークを整えている。病院に相談しにくい場合でも、近隣の地域包括支援センターなどで受け付けている。
大木院長は、「やはり認知症に最初に気付くのは家族の方。認知症を専門とする医療機関でも、コロナ対策に万全を期している。必要以上に怖がらず、まずはかかりつけ医に相談してほしい」と呼びかけた。
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