「神奈川県中学校総合体育大会」の陸上が10月3日、川崎市等々力競技場で開催され、北陽中3年の中村咲良さんが走幅跳で優勝した。新型コロナの影響で部活動が中断したり、春から夏にかけての大会が中止となったりした中、陸上に対してまっすぐ向き合ってきた中村さんが、初めて神奈川の頂点に辿り着いた。
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「燃えるような感じ」と大会では必ず選ぶ赤い靴下をこの日も身に着け、中村さんは助走ラインに立った。そして、スピードにのった1回目の跳躍で、自己ベストにあと10cmと迫る5m38cmを記録。2回目は5m24cm、上位8選手が進んだ3回目は5m29cm、最後の4回目も5m23cmと安定した力を見せた。優勝記録となった5m38cmは、2位の選手に23cmの差をつける跳躍だった。
優勝候補として挑んだ大会に、「プレッシャーもあったけれど、1位になれてうれしい」と安堵の表情を見せた中村さん。それでも、「5m50cm以上を跳びたかったので満足はしていません」と浮かれる様子はない。
休校中に悩む娘背中を押した母
1学年上の先輩たちと競った昨年のこの大会で、2年生だった中村さんは2位に。最上級生となって神奈川の頂点を目指したが、コロナ禍で春からの県大会、目標としていた8月の全国中学校体育大会(全中)は次々と中止に。4〜5月は緊急事態宣言下で部活すらなくなってしまった。
その時の思いを綴った本紙5月15日号の手記=右=で、中村さんはこう述べている。「『私は何のために練習しているのか?』と思うようになり、自主練習にも本気で向き合う事ができない日が続きました」と。そんな心境を母・愛子さん(45)に打ち明けると、「真剣に陸上に向き合うからこそ、そこまで悩む事ができる。咲良は立派な一流の陸上選手だよ」と背中を押してもらった。
さらなる飛躍へ来週は全国大会
それ以降、部活休止中は父や妹も中村さんを手伝って朝6時半から走り込み。部活の練習メニューや動画を参考に、黙々と自主練習を繰り返してきた。
小学生の頃に熱中したフラダンスで鍛えた足腰とバランス感覚。本格的に陸上を始めた中学校で培った100m12秒台のスピード。それらを生かした走幅跳を、「今は楽しくてしょうがない。そのおかげで調子もいいのかな」と中村さんは頬を緩める。
10月16日(金)からは、自身初となる全国規模の大会「ジュニアオリンピック陸上」にも出場する。もう迷いはなく、「自分を信じて跳ぶだけ」と視線を上げた。
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