働き方改革の推進やコロナ禍によって、働き方が多様化している。そんな中、茅ヶ崎市のSDGs推進アドバイザーを務める川廷昌弘さん(57・東海岸南)は、茅ヶ崎での新しい働き方を『茅ヶ崎ワーケーション』と名付け、その魅力を発信している。本来、旅先やリゾート地など”非日常”の環境でのテレワークを指す「ワーケーション」だが、それをあえて茅ヶ崎の”日常”暮らしで実践する『茅ヶ崎ワーケーション』とは。その真意や川廷さんの働き方の変遷について聞いた。
茅ヶ崎暮らしは7年、湘南の海辺暮らしは25年以上という川廷さん。(株)博報堂DYホールディングスグループ広報・IR室CSRグループ推進担当部長をはじめ、神奈川県非常勤顧問など、数々の肩書を持ち、「SDGs」推進のために国内外を飛び回っている。
そんな川廷さんから、『茅ヶ崎ワーケーション』という概念が生まれたのは、新型コロナの緊急事態宣言に伴う在宅ワークに行き詰まりを感じたころ。仕事の合間に、自宅から徒歩5分の海でリフレッシュしたことがきっかけだった。
「波打ち際に足を浸すだけで、心身ともにリフレッシュできたんです。海や自然に恵まれて、リゾートの要素もある茅ヶ崎なら、在宅で『ワーケーション』ができると気づいたんです。勝手に『ザイタク・ワーケーション』と名付けて、茅ヶ崎だから『茅ヶ崎ワーケーション』だなと」と微笑む。
10月には沖縄へ旅行し、本来の「ワーケーション」も体験。その難しさを思い知った。「あの海を目の前にして、仕事をするのは勿体ないし、よほど切羽詰まっているとか、急ぎでなければテレワークはできないですよね」と語る。
海街への「喪失感」
兵庫県芦屋市出身の川廷さん。「幼少期は磯釣りをして海辺で過ごしたものですが、埋め立て開発で、画一的な住宅街に様変わりしてしまった。さらには阪神大震災で全てが倒壊して。だから、僕は海辺の街への喪失感が2度もあるんです」。そんな郷愁に駆り立てられて選んだのが、街の空気感が似ている湘南だ。
仕事の活力は「海」
雄三通りに構えた理想の木造の家から、会社のオフィスがある赤坂までは約90分。「湘南ライナーでは、メールの返信からはじめて、会議の資料作りという感じに、都内に近づくにつれて自然と仕事モードに切り替わっていく。東京駅に着いたら、もう完全にエンジン全開ですよ」と笑う。「夜も”海に向かって”帰ることで、気持ちの切り替えができた。往復3時間かけても、茅ヶ崎に住む価値があると思っています」
サーフィン歴30年の川廷さんにとって、波乗りの時間もかけがえのないひと時だ。「真夏のコンクリートジャングルで働いている時や、『今日は波が良い』という日でも、朝一でサーフィンさえしていれば、自分の中でのメリハリができて仕事に集中できるんです」
在宅ワークが負担に
コロナによる在宅ワークは当初、分刻みで予定を組めるZoom会議にメリットを感じていた。しかし、次第に負担を感じるように。「今まで移動時間を利用して会議の内容を整理したり、心身のリカバリーをしていたことが、物理的にできなくなってストレスが溜まった。大好きな書斎に会議の淀んだ空気感が残ることも嫌だった」
こうして、川廷さんにとって、原風景ともいえる海辺での束の間の休息から『茅ヶ崎ワーケーション』が誕生した。
茅ヶ崎の価値、再認識
「忙しくて、茅ヶ崎に『住んでいる価値』を忘れていたけれど、コロナをきっかけに、見直すことができた。パートナーと早朝の海を散歩して朝日を見たり、近所を歩いてテイクアウトしたりして『こんないい店があったんだね』という地元での発見もあったしね」
お気に入りの店でお金を払うことで地域経済が回ることも『SDGs』の大切な要素のひとつだと話す川廷さん。「SDGsとコロナ、働き方。一見、別の話のように感じますが、全てつながっています。コロナをネガティブに考えるのではなく、『茅ヶ崎フードアクション』のように、自分たちで茅ヶ崎に住んでいる価値やメリットを高めていけたら良いですね」
働き方も同様だ。「明日は波が良いから午前は茅ヶ崎でオンライン会議にしよう!」「仕事の気分転換にちょっと海でも見るか」など、もともと茅ヶ崎には多様な働き方を選択できる土壌があり、柔軟に受け入れてくれるおおらかさがある。また、都内まで在来線で通勤圏内で、駅前にはコワーキングスペースも次々と誕生し、テレワークにもシフトしやすい。
茅ヶ崎で暮らしているならば、今すぐ『茅ヶ崎ワーケーション』を謳歌しない訳にはいかない。
![]() 【3】会議の合間のサーフィンや、朝市で購入した「茅ヶ崎野菜」などの写真とともにSNSで『 茅ヶ崎ワーケーション』や茅ヶ崎暮らしを発信。「勝手に茅ヶ崎のセールスマンになって魅力をアピールしています」
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