新型コロナウイルスの感染が急拡大し、1月8日から2月7日まで神奈川県を含む1都3県に2度目の緊急事態宣言が発出された。未だ収束が見えず、各方面から戸惑いの声があがる中、コロナ下で初めての妊娠・出産を迎えた夫婦に話を聞いた。
2019年の7月、川崎から茅ヶ崎へ引っ越してきた昂大さん(30)、ちふみさん(30)夫妻。同年12月に妊娠が分かり、夫婦で喜びを噛みしめていた。中国で新型コロナの第1例目の感染者が報告された頃だったが、「関係無いことだと思っていた」と振り返る。想像できない日々の始まりだった。
「見放された様に思えた」
助産師のちふみさんは、妊娠や出産について知識があった。だからこそ、子どもへの愛情や親として自覚を育む10カ月という妊娠期間がいかに大切かを知っていた。「友達にお腹を撫でてもらったり、夫婦で旅行に行ったり、すべてできなくなってしまった」
クリニックでは、妊婦検診の簡素化や同行禁止、両親学級の中止、「楽しみにしていた」4Dエコーもできなくなった。普通に得られたはずの機会がどんどん奪われていく。「悲しかったし、見放されたように思えた」。今、妊娠してはいけなかったの?そんな思いを抱いてしまう自分のことも嫌になった。
立ち会い出産の希望は叶ったものの、その後の面会は2時間だけ。次に夫の顔を見たのは5日後の退院日だった。さみしい 思いを抱えたままの妊娠・出産に、「ちゃんと子育てできるか不安だった」と言う。
8月に愛娘が生まれ、不安のなか子育てが始まった。昂大さんは育児に積極的で、食事作りなど家事も率先して担ってきた。今年3月までは育休を取得し、家族の時間を大切に育んでいる。
ちふみさんは言う。「私はまだ良かった」。夫は忙しく、ママ友もいない。孤独のなかの子育ては”産後うつ”につながっていくと。「一人で抱え込まず、行政や近隣の助産院などに連絡して、気持ちを吐露することが大切」
自分の子を信じて
産後うつとの関連性は把握されていないが、妊産婦の死亡原因の上位に自殺というショッキングな文字が並ぶ。
湘南鎌倉医療大学の看護学部看護学科母性看護学研究室では、「新型コロナウイルス感染症の流行による神奈川県在住の妊産婦の健康と生活への影響」とした研究が始まっている。
森明子教授(62)は、子育てについて「ネットの情報に頼り過ぎず、人と比較しないことが重要」と説く。「子どもは個性豊か。自分の子を信じて、子育ては”ほどほどに”」
|
<PR>
茅ヶ崎・寒川版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
|
<PR>