茅ヶ崎にも方言がある。市内北部の農家や旧家に伝わる通称「山ことば」と、主に海や漁にまつわる用語が多くみられる「海ことば」に大きく分類される。昨年7月に紹介した前編「南湖のことば」に続き、北部の「山ことば」について紹介する。
「茅ヶ崎の北部の方言?そんなのは特別に無いし、知らないよ」。方々でこう言われたが、資料をもとに丁寧に聞き取りを行うと、面白いくらいに方言にまつわる昔話が出てきた。その多くが農作業や自然、風土にまつわる方言だ。
「アサヅクリしなきゃ食えなくなっちまうよ」。そう言って10時の休憩中に、農業で使われる道具や用語の方言を紹介してくれたのは赤羽根の小沢勝重さん(83)。「どこでも出る葉は『ノラボーナ』、畑を耕すのは『ウナウ』とか。「よく『大山カンダチ、平塚オシメリ』とかいったもんだね」とほほ笑む。
香川の旧家の岡本貞雄さん(86)は「方言を知ってるのは、昭和一桁の人ぐらいなもんだろうな。香川は『カガー』、辻堂は『ツイドー』。『カガワ』なんて言うのはよそから来た人だね」と笑う。「百姓の娘は嫁入り前に東京のお屋敷に奉公に入って行儀作法や丁寧な言葉を習うけど、男は地域にいるから、ソウダンベェとか、ヨスンベェヨとか、『ベーベー言葉』だよ」と語る。
「昔は休憩を知らせるサイレンが鳴ってね。昼や3時には重箱に入ったご飯『オコジュウ』とかお焼き『ヤキビン』を食べたもんだよ」。農に関連する方言に加えて、「家」や祭事にまつわる昔話を振り返ってくれたのは芹沢・矢野福徳さん(81)。「お嫁にもらうなら『イセキムスメ』とか言って。昔は花嫁が歩いて自宅までくるから、『そろそろハナジョロ来るよー』って子どもたちが縁側からのぞいて。その重さで縁側が落ちたりして」と笑う。
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