茅ケ崎養護学校PTAは5月11日、トヨタモビリティ神奈川と共同で保護者向け企画「ちがさき防災に役立つアウトドア」を学校内で初開催した。万が一の災害時、障がいのある子どもと共に過ごす「居場所」として、自家用車があることを啓発するために計画。同校PTAは今後も企画を継続する予定だ。
当日は約50人が参加。校庭に並べられたトヨタ製の自動車で、座席を倒しマットレスを敷いて寝心地を試したり、車内に車椅子を搬入してみたりなど、車の居住性を感じるための体験をした。
また自動車は災害時に給電の役割も果たすことから、車種ごとの電力量などについて、トヨタモビリティ神奈川の担当者が解説。水素燃料電池車のMIRAIも展示され、災害時の電力源としても活躍することを説明した。そのほか、(株)ダイイチ(横浜市)がマンホールトイレや防災用具を展示した。
主に保護者を対象としていたが、児童、生徒らも一部参加し、熱心に説明を聞く様子が見られた。トヨタモビリティの担当者は「個々に異なる事情があり、使い勝手も異なると思う。参考にしていただける部分があれば」と話した。
選択肢を増やす
今回の企画の原点にあるのは、災害時の避難所における「居場所づくり」の難しさだ。
「保護者の中には、障がいのある子どもと共に避難所へ訪れることに、心理的な負担を感じる人がいる」と話すのは、同PTAの萩原淳子会長。2019年の台風19号の際には、相模川の水位上昇に備えて市内に避難所が開設されたが、「居場所がない」と感じた親もいたという。
そんな中、避難所でも自宅でもない場所として、車があることを広く知って欲しいという思いがあった。「選択肢が増えるだけでも、心の負担を減らすことができると思う」と萩原会長。企画は今後も継続予定で、秋には各家庭の自動車とテントなどを併用した宿泊体験も検討している。
他方、医療器具の電源確保ができないことなど、災害時の自動車利用には課題もある。同校の小川和豊教諭は「医療器具が安定して使える電源が備えられた、車両開発のリクエストの意味も込めた。取り組みがより周知されれば」と話した。
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