梅田中学校3年生の近藤鉄平さんは、自ら3D CAD(スリーディーキャド)(※)でモデリング(設計)し、自動的に3Dプリンタで組み立てられたスコップで、海岸のプラスチックごみを拾う活動をはじめた。生まれつき「筋ジストロフィー」という難病で、車いす生活を送る近藤さん。「これまで助けてもらうことが多かった。モデリングで、誰かの役に立てれば」と話す。※3D CAD…仮想の3次元空間上に立体的な形状を設計する、パソコンのソフトウェア。
5月8日、茅ヶ崎海岸のヘッドランドビーチ(Tバー)に訪れると、ビーチ用の車いすに乗り、プラスチックを拾う近藤さんの姿があった。スコップで浜辺をすくうと、細かな砂の粒子は網目からこぼれ落ち、プラスチックの断片が残る。
左右10cm、上下20cm、高さ2・5cmのスコップ面は、近藤さんがモデリング。3Dプリンタと「PLA」という穀物由来のプラスチック素材を用いて成型した。
取っ手部分は、市販のフラフープの一部を活用した。湾曲の角度が「車いすに乗りながら拾うにはちょうど良いんです」と近藤さんは話す。
このスコップが生まれるまで、たくさんの試行錯誤があった。網目が大きすぎるとプラスチックが脱落し、小さすぎると砂が詰まってしまう。フラフープとの接続箇所も、抜け落ちないように微調整を重ねた。
砂に差し込む際の角度に改良の余地があるそうで「さらに工夫を加えたい」と、浜辺でひときわ輝く笑顔を見せる近藤さん。スコップは、市内の障害者や家族から構成される団体「Challenged」が6月に開催する、プラスチック回収イベントで活用予定だ。
「僕の一番弟子」
3D CADとの出会いは、昨年1月頃。ものづくり講師などをしている木村朋道さん(51/十間坂在住)と知り合ったのがきっかけだ。
3D CADや3Dプリンタは、かつては企業の試作品づくりなどで使われることが多かった。しかし現在では、無料で利用できる設計ソフトが普及。プリンタも1万円代から購入できるようになるなど一般化している。そんな中、動作の困難を補う「自助具」を、自分の身体に適したかたちで作る活用方法が普及しつつある。それを知った近藤さんは、木村さんに「弟子入り」した。
最初は、携帯電話を立てかけるスタンドづくりからスタート。めきめきと腕を上げ、現在は外部の依頼を受けて、ジョイスティック(入力機器)の練習台などを設計している。木村さんは「本当に飲みこみが早い。僕の一番弟子です」と太鼓判を押す。
小学4年生の頃からの車いす生活では「誰かに助けてもらうこと」が多かった。しかし今は「誰かの役に立つ経験」が増えている。プラスチック回収も、生まれ育った地域への貢献という思いが出発点だ。母の啓子さん(46)は「学校などでも積極的になった。自信がついているのがわかる」と目を細める。
3D CADと出会い、輝きを増し続けている近藤さん。「これからも、世界にひとつしかない物を作りたい」と話す。
![]() ▲砂が落ち、プラスチック片が残る微調整された網目▶
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