オーストラリアの学校事情をまとめた『コアラの国の教育レシピ』を出版した 本柳 とみ子さん 菱沼海岸在住 67歳
多様性認める処方箋
○…机を並べるのは、肌や目の色、服装、宗教、使う言語も異なる子どもたち。その「違い」を教育の現場はどう尊重しているのか―。移民国家オーストラリアの事情についてまとめた『コアラの国の教育レシピ』(幻冬舎)をこのほど出版した。「違いを違いとして受け入れ、同じであることを求めないのがオーストラリア流。多様性が叫ばれるなか、日本の学校や家庭でもヒントになる部分があるはず」
○…出身は京都府。茅ヶ崎市内の公立中学校で26年間、英語教師として働き「いい出会いに恵まれて充実していた」という。一方で教育現場を取り巻く課題や自身の教員としての在り方に悩みも抱えていた。50歳を迎えて一念発起。教師を辞めて大学院で研究をスタートさせた。そのテーマとしたのが、オーストラリアの教育だった。
○…きっかけは同国の学生をホームステイで受け入れたこと。「異なる文化との接し方がとても自然で、日本とは全く違うと感じた」。大学院に進んでからは毎年3〜4回のペースで訪問。教室や机の配置は学校やクラスで異なり、教師と生徒のフラットな関係性、覚えることより考えることを重視する、教育法に触れてきた。「オーストラリアのやり方が全て正しいわけではない。日豪それぞれの良さを知り、アレンジして活かすきっかけになれば」
○…長男、長女はすでに独立し、孫も2人。「家族は私が好きなことをやってる、と思ってるみたいで干渉はしてこない。それが一番ありがたい」と笑う。「他の国について調べてみたいと思うこともあるけれど、やっぱり興味深いのはオーストラリア。まだまだ知りたいことはある」。その知的好奇心と教育への情熱は、当分衰えそうにない。
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