10月から稽古を続け、このコロナの中でも諦めず良い作品になるように努め、1月22日、無事に公演を迎えることができた。コロナが始まり、たくさんのことを我慢してきた子どもたちにとっては2年ぶりに実現した舞台だった。
作品は茅ヶ崎花火大会の日に生まれた幼馴染の春(しゅん)と青(あお)が成長していくものがたり。そんな中コロナになり二人は会えなくなる。そして青は病気に。青の病気が治る事を願い春は「キセキの花火」をあげるために仲間たちと立ち向かう。
テーマは「青春」。C.C.C.THEATERのメンバーたちがもつべき大切な時間。それがこの2年間奪われてしまった。僕は、彼らが「健気に我慢」をし続ける姿を見続けてきた。いろんなことを「諦める」「できない」という言葉で片付けられる日々で彼らに最高の「青春の1ページ」を刻んでほしいと思って作品を書いた。この作品は彼らの「ドキュメンタリーフィクション」である。稽古の最初で、マスク生活に慣れてしまった彼らが自分の声を相手に届ける力や相手の表情から読み取る力が低下してしまっていることに気がついた。「別に伝わらなくていいや」、「わからなくていいや」という空気が生活の中で出来上がってきてしまっていた。
演劇は一人ではできない。そして相手と共に作り上げていく作業である。彼らは仲間と一緒に自分たちの役やシーンを考え、具現化していった。小学1年生から高校3年生と多年齢が集まり、みんな自主的に動いて、話し合って作品を磨いていく姿は本当に心を打つものがあった。
1月に入り、コロナ感染が激増する毎日でも希望をもって準備を続けた。そして、事前のPCR検査や抗原検査も全員陰性、まさに彼らが起こした「奇跡」だった。2年ぶりに見たマスクなしの彼らの素顔を見た瞬間、僕は涙が止まらなかった。これは保護者の方々も同じだった思う。公演中もキラキラ輝いた彼らは、多くの観客を笑わせ、泣かせ、感動させた。観客からもらった拍手は彼らにとって大きな自信になったと思う。終演後、みんな涙を流しながらお互いを称え合っていた。彼らも本当に不安だったし、また仲間が誰一人かけることなく実現できた喜びを感じていたんだろうと思う。会場を訪れた佐藤光市長からも「茅ヶ崎のことが随所に盛り込まれ、大変感動した」とのお言葉を頂けた。
「キセキの花火」は、彼ら自身が輝石(きせき)であり、彼らが辿った軌跡(きせき)が奇跡(きせき)を起こし、そしてこの体験が彼らの未来の輝跡(きせき)になっていくことを心から願っている。
2022年1月24日寄稿 C.C.C.THEATER 代表 原田 亮
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