視覚障害者の情報取得は「音声」に頼るところが大きい。近年はパソコンやスマホの読み上げ機能も発達し、その手段は格段に増えている。しかし、こうした技術が無かった時代から、目や身体が不自由で読書ができない人の「目の代わり」として、身近な情報を伝えてきた人たちの存在がある。40年以上にわたり活動を行う「茅ヶ崎録音奉仕会」だ。
「目の不自由な人の読み物と言えば、『点字』のイメージですが、実際のところ、点字を使える人は視覚障害者全体の1割程度しかいません。日常生活に必要な情報を”声”で届けているのが、私たち音声訳ボランティアです」と松本陽子会長は語る。
柱は『声の広報』
1977年発足の同会の活動の柱となるのは、『広報ちがさき』をはじめ、新聞記事や同会オリジナル雑誌などの録音。利用者から希望があった際は、本や雑誌を対面で朗読することもある。
活動は月3〜4回。初日に記事の選定や原稿作りと下読みを行い、担当者が自宅で録音。2日目に仮編集と内容チェックを経て、ようやく3日目にマスターを完成させ、CDやテープにダビングして利用者に発送する。
記事を読み上げるポイントについて「聞いてすぐ理解できるように、文のまとまりをしっかり捉えることが大切」と毛利紀子副会長。また、声の出し方や読み上げるピッチ、ピーク、アクセントなど細部まで気を配る。
「録音は標準語で行うので、手放せないのはアクセント辞典。また、地名や人名、漢字の読み方も間違わないように何度も確認します」
課題は読み手と読者の拡大
現在の会員数は41人。主婦や定年後の男性など、主に50〜80代が活躍している。ここ数年は、会員の高齢化や若年層の担い手不足が課題だ。読者の拡大も、目下の目標となっている。
市内の視覚障害者約400人のうち『声の広報』の利用者は50人程。「大切なお知らせが届いていないことも多い。地域の情報を難なく受け取れるようになることが私たちのゴールです」
昨秋には、読み手と読者それぞれに向けて、会の活動を知らせるチラシを制作。公共施設で配布を行う。「まずは音声訳について知ってほしい」
(問)社会福祉協議会【電話】0467・85・9650
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