装飾品のサンキャッチャーを作る参加者（奥が菅さん）＝提供写真
流産や死産、新生児死等を経験した人が集う場が今年３月から市内で開かれる予定だ。その中心となっているのが、自身も流産を繰り返す不育症を経験した菅美紀（すがみき）さん（46・市内在住)。これまでは横浜市鶴見区を拠点に活動をしてきたが、昨年茅ヶ崎へ移住したのを機に、市内でも始動する。
｢１人じゃない｣救いに
厚生労働省の人口動態統計（２０２０年）では「12週以降の妊婦が死産を経験するのは約50人に１人、12週未満の流産は妊娠全体の15％」におよぶという。
菅さん自身もこれまで３度の流産を経験した。しかし医師からは「よくあること」と言われ「赤ちゃんの死を軽視されているようで傷ついた」と振り返る。
「同じ経験をした人たちと話したかった」というが情報は少なく、「生活の中で外出すれば妊婦さんや赤ちゃんを見てつらい」と次第に塞ぎ込み、孤立していった。
７年前、待望の女児を出産した。しかし流産を経験した時の感情が消えることはなかった。そこで２０１８年、「同じような思いをした人たちと集まれる場所を自分でも作ってみよう」と一人でグループを立ち上げ「ＡＮＧＥＬ,ｓ ＨＥＡＲＴ」と名付けた。
始動すると周りからは「実は私も」という声が次々と寄せられ、「その多さに驚いた」という。
同グループでは、赤ちゃんを亡くした人が集まる「お話し会」のほか、「流産した赤ちゃんにはお墓など何も残らない。思いを馳せる場所を作りたかった」と、太陽光を集める装飾品であるサンキャッチャー作りを行ってきた。
「今でもつらくなることがある」という菅さんだが、それでも活動を続けるのは「子どもを亡くした悲しみは消えなくても『自分だけじゃない、１人じゃない』と思うだけで救われることがあるのでは」という思いからだ。「いつか娘が母親になった時など、次世代が安心して支援を受けられる社会になってほしい」とする。
菅さんは昨春、茅ヶ崎に移住。今後は茅ヶ崎を拠点に、月１回程度のペースでお話会を開催していく予定。また「行政などと連携して、メンタル面のケアを行う体制や仕組みを一緒に考えていきたい」という。今年１月には茅ヶ崎市の職員や保健師、看護師、助産師などを対象に講演を実施した。菅さんは「同じ思いをしている１人でも多くの人に情報が届けば」と話している。
啓発活動も実施
赤ちゃんを亡くした家族の心のケアや支援の必要性の意識向上、亡くなった赤ちゃんへ思いを寄せることなどを目的とするベイビーロス アウェアネス ウィークという国際的な啓発週間（毎年10月９日〜15日）や、最終日の午後７〜８時に「亡くなった赤ちゃんを想ってキャンドルを灯す」ウェーブオブライトが世界中で開催されるほか、活動啓発の国際的シンボル「ピンク＆ブルーリボン」も存在する。日本では認知が低いが、菅さんはこれらを日本全国に広めようと活動する団体｢ＢＬＦＳ Ａｎｇｉｅ｣の共同代表も務めている。
問い合わせは菅さん【メール】angelsheart.sugamiki@gmail.comへ。
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