市内汐見台に本部を置く(公財)かながわ海岸美化財団が公表した2021年度のビーチクリーンボランティア申込件数の集計結果によれば、過去最多だった19年度の1・5倍となる2040件で、史上最多を記録。その要因となったのは個人申込で、コロナ前と比べ約6倍の増加となった。
内訳では、企業やサークルなどの団体申込は、自粛生活の影響で激減した20年度を除いて、横ばいの1015件。一方の個人申込は、コロナ禍でも増加。20年度は前年比1・6倍増の286件、21年度においては、さらに前年比3・6倍の増加となった。
これに対し、美化財団の柱本健司さんは「団体から個人へ移行したというより、個人まですそ野が広がった」と分析。個人ボラは鎌倉や藤沢、茅ヶ崎に多いが、西湘地域などに増えたことも要因の一つだという。
リモートワークの社会人・Z世代が増
個人ボラの中でも、リモートワークになった社会人のほか、海ごみ問題への関心の高まりとリモート授業などで空き時間が増えた大学生らZ世代の参加が目立った。
また、こうした個人ボラの増加により、ごみ拾いの「即応性と機動力」が上がったという副産物も。これまで月1回の日曜日など、固定した日時・海岸で活動していた団体ボラに対し、リピーターの個人ボラは予めごみ袋を多めにもらい、強風等でごみが多いと知れば、時と場所を選ばずに回収するのが特徴だという。
海岸美化の先進モデルに
同財団は、日本で唯一の海岸美化専門の団体。ボランティアに対し、ごみ袋などの用具を提供するだけでなく、回収までワンストップで無償支援している。自分の好きな時間・海岸で活動でき、拾ったごみは、美化財団が指定する場所に置けば、回収される仕組みだ。これにより、神奈川県は「海ごみ対策の先進的なモデルケース」として実績を上げている。
柱本さんは「ボランティアを増やすには、ごみ袋や用具を提供するだけではなく、回収までセットにした支援が必要。神奈川発でこの仕組みが全国に広まっていけば」と語る。
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