10月30日に実施される茅ヶ崎市長選挙の投票所に「コミュニケーションボード」が導入される。聴覚に障害がある人が指差しで意思を伝え、スムーズに投票できるようサポートするもので、市として初の試み。選挙管理委員会では「障害のある人だけでなく、高齢になり聞こえづらくなった人などにとっても投票しやすくなるのでは」と期待を寄せる。
コミュニケーションボードは、入場整理券の有無など、投票の際に必要なやりとりを指差しで可能にするもの。
茅ヶ崎を拠点に、聴覚障害者が抱える社会問題の周知と解決を目指して活動する一般社団法人4Hearts(那須かおり代表)の提案を受けて実現した。
自らも生まれつき聴覚に障害がある那須代表は「投票の際、受付で聞かれていることが分からず、適当にうなづいていることも多かった。コミュニケーションが取れないために、投票をあきらめる聴覚障害者も多いと聞いている」と話す。
さらにコロナ禍以降は新たな問題が生まれている。「マスクをしているので口元を見ても話しかけられたかが分からない。筆談で伝えたくてもクリアボードがあって紙のやりとりが難しいこともある」という。
那須さんらは、7月の参議院議員選挙の後に「たたき台」を作ったうえで市選管にコミュニケーションボードの使用を提案。障害者が必要な情報を得られるようにする責務を国や自治体に課す「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」が施行されたことも追い風になり、導入が決定した。
記載する文言やデザインは、実際の投票の流れや他の書類と文言を一致させるなど、選管側の要望も取り入れながら変更を重ねてきた。那須さんは「将来、タブレットなどを導入した際にも転用できるものをイメージした」という。
ボードは期日前5カ所、当日48カ所に設けられる全ての投票所に配布されており、案内係が手に持ち、訪れた人に見せることになる。
那須さんは、来春の統一地方選で、全県での導入に向けて働きかけを続ける考え。「聴覚障害は外見では分かりづらい。こうした機会に私たちが感じる『バリア』の存在を多くの人に知ってもらえたら」と話している。
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