茅ヶ崎市美術館で18年ぶりに洋画の個展を開く 入江 観さん 東海岸南在住 87歳
自然に呼ばれ、筆をとる
○…茅ヶ崎市美術館で12月10日から、「湘南を描く 入江観展」が始まる。同美術館での個展は18年ぶり。「地元の風景を描いた作品が中心なので、うれしいです。鑑賞した人がどんな風に感じるか、聞くのが楽しみ」と話す。
○…栃木県日光市生まれ。物心着いた時から絵を描くのが好きで中学1年の時、伯母夫婦の営む店の客に、絵画の道具を譲ってもらったことをきっかけに本格的に油絵を始めた。高校卒業後は東京藝術大学藝術学科に進学し、在学中から歴史ある美術公募団体・春陽会に入選。仏の画家、ポール・セザンヌの作品に「言葉に表すのが難しいが、夢中になった」。中学校で美術教師をしながら仏語学校に通い、27歳で仏政府の給費生制度の試験に合格。約1年7カ月滞在し「貧乏だったが、絵のことだけを考えられた贅沢な時間。夜明けが待ち遠しく、黄金の日々だった」
○…帰国後は自らの創作活動も行いながら、女子美術大学で教鞭をとった。学生に教える中で見定めていたのは、絵にどれだけ真剣か、だという。「一番大事なのは自分の絵を信じること。信じていれば、自分にとって離れられないものになる」。定年後は付属中・高校の校長も務め、「生徒の作品で良いものがあれば、積極的に褒めるようにしていた」と後進の教育にも熱を注いだ。
○…同大学の茅ヶ崎校舎の建設を機に、50年ほど前に茅ヶ崎へ。「栃木は海がなく、水平線に憧れていた。憧れが日常になってうれしかった」。独特の透明感ある画風で国内外の風景を描いてきたが、「あらかじめイメージは決めていない。描くときは自然の方から『呼ばれる』感覚がある。これからも自然と出会って、呼ばれるままに描いていきたい」
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