東海岸南在住のパラ水泳選手、田中映伍さん(19)がイギリス・マンチェスターで行われたパラ競泳の世界選手権で4種目に出場、2種目で日本新をマークする活躍を見せた。来年3月にはパリパラリンピックを懸けた選考会が控えており「最低でも代表入りし、出場できればベストを更新したい」と語る。
田中さんは3月に静岡県で行われた「2023日本パラ水泳春季チャレンジレース」に出場。S5(両下肢の障害や手足の欠損がある)クラスの50mバタフライ、50m自由形、50m背泳ぎ、200m個人メドレー4種目全てで、世界選手権代表に決まった。
大会では、50mバタフライで5位、200m個人メドレーで6位に入賞。バタフライでは予選で34秒47を、メドレーでも予選で自己ベストを4秒近く縮める3分19秒85をマークしていずれも日本新記録を樹立した。さらに50m自由形でも自己ベストを更新した。「調子が良く、良いタイムが出ている実感があったが、想像を上回る出来だった」と田中さんは振り返る。
一方、課題も浮き彫りに。今大会での記録更新は全て予選でのタイム。決勝では体力不足で失速しただけに、陸上でのトレーニングにも励んでいる。「得意の前半で、スタートからどれだけスピードに乗れるかが重要」と語る。
「止まらないまだ伸びる」
10月には中国・広州でのアジア大会を控える。得意なバタフライは、世界ランキング上位を占める中国代表も出場予定で、厳しい戦いが予想される。それでも田中さんは「ここで止まりたくない。まだ伸びる」と話し、2年前に描いた「2024年パリパラリンピックで入賞し、28年ロサンゼルスパラでメダル、32年ブリスベンパラで金」のビジョンは射程圏内に。「自分の強みは失敗を恐れず、失敗しても次につなげられる精神力」と自負する。
パリパラの最終選考会となるのは、3月の春季記録会兼選考会。「ベストを出して最低でも代表入りする。パリパラでは、世界選手権よりも良い結果を出したい」
環境も後押し
生まれつき両腕のない田中さんだが、幼い頃からサッカーやサーフィンなどさまざまなスポーツに挑戦してきた。
中学生となりパラ水泳を始めた当初は市内萩園の屋内温水プールが拠点で、専門のコーチもいなかった。そうした状況を聞いた本村の水泳教室「パルバル湘南スポーツクラブ」の申し出を受けて、昨年3月から専門的な指導でさらに才能が開花。4月には東洋大学に進学し、キャンパスから近いナショナルトレーニングセンターでの練習で、さらなる飛躍を遂げてきた。今大会の好結果について、「プールが近くなったことで、練習の量も質も上がった」と手応えを話す。
大学で専攻するのは「福祉社会デザイン」。障害のある人の生きやすい社会づくりや福祉関係について学んでいる。アスリートとしてのパラリンピックの先も見据えており、「水泳はずっと続けていきたい。コーチなどとしても貢献していけたら」と未来を語った。
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