「街と人がつながる、手作りの映画祭」をスローガンに掲げる「茅ヶ崎映画祭」が今年も10月7日(土)から始まり、茅ヶ崎館のほか、市内各所で18作品が上映される。12回目を迎える今回は、目玉として生誕120年の節目となる小津安二郎監督の3作品を特集上映。長きにわたり、茅ヶ崎を拠点に制作活動を続けた小津監督の作品を通じ、改めて茅ヶ崎に息づく映画文化の醸成を図る考えだ。会期は29日(日)まで。
上映される小津作品は、茅ヶ崎の原風景が見られる1947年公開の「長屋紳士録」(会場・茅ヶ崎館)、一人何役もこなす活弁士・佐々木亜希子さんの声色が楽しめる「浮草物語」(同)、初期のサイレント作品を倍賞千恵子さんら豪華俳優陣による新音声版で送る「東京の合唱」(茅ヶ崎市民文化会館)。いずれも丹念な描写による映像美で名高い名作がそろった。
小津安二郎は1903年深川(東京都江東区)生まれ。23年に松竹に入社し、脚本家の池田忠雄、柳井隆雄と共に「父ありき」を制作した際、2人が茅ヶ崎在住だったことから茅ヶ崎館を拠点として執筆、映画制作に力を注いだ。また、茅ヶ崎の海をこよなく愛し、毎日のように海岸を散歩してはアイデアを生み出していったという。
同映画祭実行委員会の委員長で、同館5代目館主の森浩章さんは「当館には今でも、多くの映画ファンが市内外から訪ねてくる」と話す。
同映画祭は2011年にスタート。「小津作品のさらなる普及、次世代に日本映画の素晴らしさを継承するため、いつかは映画人たちが集まる場所として映画祭を開催したかった」と森さん。東日本大震災が発生し未曾有の被害を目の当たりにしたことで「いつ災害が来るかわからない。今進めないと後悔すると思った」と開催に向けて周囲に協力を呼び掛けると賛同する仲間が増え、実現したという。
映画祭の意義について、森さんは「多くの観客がスクリーンで鑑賞することでライブ感はもとより、総合芸術としての映画の素晴らしさを共感できること」とし、今後は高校生や大学生の優れた作品の表彰や上映も検討していく方針だ。
「ある男」石川監督登場
もう一つの目玉は10月28日(土)に行われる、今年の第46回日本アカデミー賞最多8冠に輝いた作品「ある男」の上映(イオンシネマ茅ヶ崎)。石川慶監督も舞台あいさつで登壇する。茅ヶ崎館で同作の構想を練ったことが縁で、後に茅ヶ崎市民となった石川さんのコメントにも注目だ。
上映作品やスケジュール、チケットの問い合わせは同映画祭のホームページで確認を。
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