分娩中や出産入院時に、大災害が起こってしまったら…? 茅ケ崎駅南口の下田産婦人科医院(下田隆夫院長)では、陣痛時や夜間でも、迅速に患者と赤ちゃんを避難誘導できるよう、大規模災害(直下型地震や大津波)を想定した防災訓練に取り組んでいる。4回目となる今年の訓練には、初めて地元自治会の防災担当らを招いて実施された。
同院がある幸町は「建物の老朽化・高齢世帯が多い・道路が狭い」などの課題を抱えるエリア。災害時は建物倒壊やクラスター火災による被害のほか、津波の恐れもある。また、妊産婦や新生児は、災害時、特別な支援が必要な「要支援者」でもある。
これらを受け、同院では茅ヶ崎市の防災ガイドラインや県助産師会による防災冊子などをもとに、オリジナルの「防災マニュアル」を作成。2020年からは年1回の防災訓練と四半期に1回の防災講習を実施してきた。
また「ドアを開放し、ひもで固定する」「ヘルメットをかぶる」といった初期行動を示した「アクションカード」を開発。毎回ブラッシュアップされ、それをもとに防災訓練を行っている。
まず逃げ道を確保
10月19日、1階待合室には医師や看護師、キッチンスタッフら総勢35人が集結。初めて幸町自治会メンバーも参加した。
「まずは自分の身を守り、妊婦さんや赤ちゃんが安全な場所に避難してもらうことが最優先。真剣に取り組みましょう」
地震と津波を知らせる物々しい警報アラームが流れると、院内は一気に緊迫モードに。待合室では「逃げ道の確保」のために、スタッフが正面玄関ドアを開放し、その後、トイレや回復室などのドアをひもで固定し、避難誘導に走った。
続く重症患者への初動対応では、すぐさま副院長が駆け付け、傷病の緊急度に応じ、治療の優先順位を決定する「トリアージ」を実施。患者を担架に乗せて避難口へ搬出した。そのほか、診察室やベビー室、2階病室、採卵室などの各持ち場で訓練が行われた。
分娩室では、分娩進行中や帝王切開中など、あらゆるシーンを想定した訓練が展開。副院長の指揮のもと、分娩台の患者を車椅子に乗せて避難するなど、母子の安全のために細心の注意が払われた。
副院長からの総括では「患者さんや赤ちゃんの安全確保ができれば、地域からのヘルプにも応えられる。迅速に人命を救うために、災害時、街で具合が悪い人がいたら、ホイッスルで人を呼んだり、トリアージを行ったり、応急処置を行ってほしい」と呼び掛けた。
「自治会としても安心」
訓練を見守った幸町自治会の小澤幸夫副会長は「こうした訓練の積み重ねで人命を守っているのだと知り、感心した。自治会との連携も強化していきたい」と話した。
同院では、徒歩1分の場所に、高層の避難所を設けており、非常食など防災備蓄も完備して有事に備えている。
![]() 訓練の詳細は#ちがすきで
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