学芸員のイチ推し! -連載 Vol.15-
華ひらく律令の世界の「鬼瓦」
約1300年前、市北西部の下寺尾には、古代の役所と寺院が建っていました。「下寺尾官(しもてらおかん)衙(が)遺跡群(いせきぐん)」と総称されるその遺跡群では、古代相模国高座郡(たかくらぐん)(現在の茅ヶ崎市域・藤沢市域周辺〜相模原市域東部)の役所「高座郡家(たかくらぐうけ)」と、それに隣接した古代寺院(七堂伽藍跡(しちどうがらんあと))などの遺跡が発見されています。
七堂伽藍跡からは、仏具と考えられる土器や陶器、古代の銭貨(皇朝銭)、絵馬、一つ目の生き物が描かれた人面墨書土器などのほか、多くの瓦が発見されています。そのうち、9世紀の鬼瓦の破片は、海老名市の相模国(さがみこく)分尼寺跡(ぶんにじあと)の再建期の鬼瓦と同じ型(同范)のものです。茅ヶ崎市博物館では、展示コーナー「下寺尾に眠る遺跡」で、その鬼瓦のレプリカを展示しているほか、ポータルサイトの3Dコンテンツとして鬼瓦レプリカの3Dデータを公開しています。
12月16日(土)からは、令和5年度かながわの遺跡展「華ひらく律令の世界」を開催します。奈良・平安時代の官衙や信仰に関連する県内外の出土品を約270点展示します。
下寺尾の鬼瓦の背後に広がっていた豊かな律令の世界を体感できる貴重な機会ですので、ぜひ足をお運びください。
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