静岡県で10月に行われた全日本一輪車競技大会のトラックレース部門で、東海大学1年の内田岬希さん(19・茅ヶ崎市十間坂)が総合優勝を果たし、3年連続で男子全日本チャンピオンに輝いた。弟でアレセイア湘南高校1年の侑希さん(16)は1種目で初優勝を飾った。
雨に見舞われた今大会。岬希さんは監督を務める父の重之さんと話し合い、スピードを上げずに安定走行で完走する作戦に打って出た。さらに、雨対策として靴の上から靴下をかぶせるなどの工夫を重ねたという。
有力選手の雨による落車が相次ぐ中、そうした対策が奏功した。出場した100mスプリント、片足50m、タイヤ乗り30m、400mスプリントの4種目全てで予選を突破すると、決勝では400mで55秒32、100mで12秒46をマークし2種目で優勝、片足走行50mは7秒56、タイヤ乗り30mは6秒89でともに3位に食い込み、総合力の高さを見せつけた。「レースでは選手との駆け引き、せめぎ合いがすごかったが、4種目全てでゴールできたことが今回の勝因になったと思う」と振り返る。
大会前はスランプに
岬希さんは大会前に体調不良から極度のスランプに陥った。当時を「どう走っていいのかわからなくて」と表すほど自信を失ってしまっていたが、「まずは一旦、ゴールすることを考えよう」と重之さんから提案され、少しずつ「自分の走り」を取り戻していった。決して万全な状態での全日本出場ではなかったが、「速さを求め過ぎると、力んでしまう。今回のように初心に戻ることの大切さを改めて感じた」と岬希さん。その上で「今度は攻めの走りで記録を更新したい。今に満足せず、今年の自分を超える、それが来年の目標」と力強く誓った。
侑希さんタイヤ乗りで力示す
タイヤ乗り30mを6秒53のタイムで岬希さんより先にゴールに飛び込んだのが弟の侑希さんだった。「タイヤ乗りでなら大人たちに混じっても勝負できると信じ、それ一本に賭けて練習してきた。夢がかなった」と喜び爆発させる。初めて全日本のタイヤ乗りで大人に混じって戦ったのは小学5年生の時。入賞はできなかったが、「あの経験が今回の優勝につながった」と勝因に挙げる。ゴール後、「兄に『すげえ、よくやった』と言われ、とてもうれしかった。支えてくれた父、母にも感謝したい」と口にする。
今大会は総合4位だったが、「来年は一つでも順位を上げて入賞したい」。一緒に練習する兄の背中を追いかけ、さらなる高みを目指す。
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