茅ヶ崎市美住町の和菓子店「野中屋」が昨年末、「プロテイン大福」と「プロテインプリン」を発売し、話題となっている。創業70年に迫る老舗に新たな風を吹かせているのは、2代目店主と3代目として修行中の親子。開発の経緯などを聞いた。
プリンが人気に
野中屋は1956年創業。大粒の栗を練り切りで包み、海に映る月と舟に見立てた「茅の月」は第23回全国菓子大博覧会で名誉総裁賞を受賞するなど、茅ヶ崎を代表する和菓子店の一つとして知られている。
そんな老舗で一風変わった挑戦が始まったのは昨年。現店主・野中政彦さん(58)の息子・大地さん(29)が店を継ぐことを決め、修行を始めたことがきっかけだ。
「和菓子にはもっと可能性がある」という大地さんは、SNSでの発信に力を入れるなどの改革を続けており、「当店を知ってもらうきっかけづくり」に洋菓子メニューの充実を考えた。
そこで取り掛かったのが「和菓子店が本気で考えたプリン」だ。まだ修行中の大地さんに代わり、開発を担うのは政彦さん。「もともとプリンが大好きで関東一円の有名店の商品を食べてきた」とさっそく試作に取り掛かった。
試行錯誤の末、たどり着いたのは寒天や葛を使い、カラメルの代わりに黒蜜を別添えにするなど「和菓子屋らしさ」にもこだわった「なめらかプリン」。昨年9月から店頭に並ぶと、瞬く間に「トップ3に入る人気商品」となった。
格闘家に優しい菓子
そんな大地さんのもとにあるオファーが届いたのが昨年11月ごろ。実は現役のキックボクサーで、所属する格闘ジムで後進の指導にも当たっている大地さんは、先輩選手から「減量後に食べやすい、プロテイン入りの和菓子がほしい」と持ちかけられた。
「すぐに出来ますって答えていた」と大地さん。店に戻り、政彦さんと開発に取り掛かった。
そこで生きたのがプリンで培ったノウハウ。さまざまな製品を試し、ダマになりづらいカフェラテ味の植物性プロテインを使ったプリンと大福を完成させた。
大地さんが先輩選手に渡したところ「減量で疲れた内臓にも優しく食べやすい。甘いものなので食べるとホッとする」と大好評。評判を聞きつけた格闘家の仲間からも注文が入るようになった。
昨年12月中旬から店頭での販売を始めたところ、ランニング中に店に立ち寄ってその場で食べていくランナーもいるなど、徐々に評判が広まっているという。
「今後はネット通販なども検討したい」と大地さん。政彦さんは「お客さんにおいしいと言ってもらえることがなによりうれしい。これからも挑戦をつづけたい」と話している。
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