ピック病の苦悩を一冊に 元市職員の中村さん「病気を知ってもらうチャンス」
元茅ヶ崎市職員で、若年認知症「ピック病」と闘っている中村成信さん(寒川町在住・61歳)がこれまでの人生を綴った手記「ぼくが前を向いて歩く理由(わけ)」(中央法規)を出版した。
「人に言いたくないことをさらけ出すなんて抵抗があったけど、この病気を知ってもらうチャンスかもしれない」。迷った末、後者を理由に、中村さんは本を出すことを決断した。
中村さんの病気は前頭側頭型認知症(ピック病)といわれるもので、脳の一部が萎縮する疾患。年齢では40〜60代までの働き盛りに多く、感情抑制を失ったり、異常行動をするなどの症状が現れる。
中村さんの場合は2006年2月の万引き事件がきっかけで病気が判明した。当時56歳で、茅ヶ崎市の文化推進課長だった中村さんは事件発覚後に懲戒免職。その後すぐピック病であることが分かり、処分撤回の申し立てを行い、3年後の市公平委員会の裁決で「停職6ヵ月」となった。
同書は事件発覚後から再び自分の生活を始めた現在までの経緯を6章でまとめたもの。回想の語り文として展開し、途中、妻の敏子さん(55歳)が記録として残しておいた症状メモなどを挿入し、病気の進行を切実に訴えかけている。
本の出版は中村さん、そして家族にとっての一区切りであり、新たな一歩である。「(認知症について)誰かが声を出していかないといけないと思った。これまで支えてくれた人たちへの恩返しの気持ちも込め積極的に色々なことにチャレンジしたい」。中村さんは現在通院をしながらも寒川町内の通所介護施設でボランティア活動に励んでいる。
著書は税込1680円。
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