市内本村出身の服部祥多さん(17)が式秀(しきひで)部屋=茨城県龍ヶ崎市=に入門し、先月行われた大相撲秋場所の新弟子検査に合格した。11月(九州)場所の番付表の序ノ口に、服部さんの四股名「服部桜」が登場する。
服部さんが相撲に魅せられたのは梅田小低学年の頃。学校からの帰路、本村の八王子神社前の坂道で転倒し左肘を怪我したため翌日、学校を休んだ。テレビを見ていると、昼過ぎの相撲中継が目に映った。「こんな早い時間からやっているんだ」と、まだ大銀杏姿ではない力士の奮闘ぶりに驚いたという。後日、相撲好きだった祖父と一緒にテレビ観戦をしていると、当時前頭だった把瑠都(ばると)が新大関の白鵬に勝ち星を挙げた。「こんな豪快な上手投げができるってすごい。面白い」と率直に感心したという。
式秀親方との出会い
相撲に興味をもち、祖父と秋場所の観戦に国技館へ出かけると、塩をまく姿で有名な北桜関(現・式秀親方)にばったりと出会い、一緒に写真を撮ってもらった。「大きいな。なんだか、優しそう」と親方の第一印象を振返る。梅田中を卒業後は、部活で所属していた陸上を続けようと、筋力トレーニングを独自に研究した。すると、鍛えたい足腰には相撲の「四股」「摺り足」が最適との情報がインターネットに載っていた。以前から好きな相撲だったので見よう見真似で四股を踏んでみると「意外とできるかも」と手応えがあった。次第に「本気でやりたい」と思い昨年12月、家族に内緒で式秀部屋を訪れた。当時の様子を兄弟子の宇瑠虎(うるとら)さん(序二段)は「一人で突然来たのでびっくりしました」と回想する。
家族に黙って
親方やおかみさん、弟子、行司、床山が全員がそろっている稽古中のことだった。入門したい意向を話すと「よく家族と話し合ってから来なさい。その上でもう一度来てくれたら、詳しい話をしましょう」と親方とおかみさんから悟され、その日は茅ヶ崎へ帰った。父・良夫さんに言い辛かったため黙って部屋の門を叩いたのだが、憧れの北桜関の指示だったため、すぐに家族に打ち明けた。「相撲をやりたい。実は入門したい部屋に今日行ってきた」。すると父は「好きな道に進むのは良いこと。だが、行司や床山、呼出という仕事もある」と特別大きい訳ではない身体の息子を心配したという。「それでも、力士になりたい」。17歳の誕生日を迎えた翌月の8月27日に母と式秀部屋を再訪し、新弟子検査の書類を受け取った。「これでやっと力士になれる」。9月2日に同部屋に入門し、9月13日の新弟子検査の朝を迎えた。
軽量の壁
検査の数日前から体重を気にしていたという服部さん。基準の67kgに「少し足りないかも」と不安を抱えていた。計測の日の朝、兄弟子の桃智桜(ももちざくら)さんが親方から託された1Lの水を手渡され直前に一気に飲み、見事70kgで審査を通過した。「ほっとした。お守り代わりの親方の『水』のおかげでした」と笑みをこぼす。身長は同検査を受けた4人の中で最高の180cmだった。
入門後、約1kg増やしたという身体のふくらはぎは引き締まった筋肉で張りがある。目指す力士は「少しでも長く力士でいたいから」と今年引退した旭天鵬の名を挙げる。現在稽古に熱を入れているのは「突っ張り」。「千代大海関のような重みのある突っ張りを極めていきたい」。宇瑠虎さんは「私と同じ軽量なのでこれから一緒に稽古し、身体を作っていきます。まずは吹き飛ばされない体つきにならないと」と話す。服部さんは「稽古は楽しい。兄弟子たちも優しいし、この部屋に入門して良かった。親戚から『頑張れ』と言われている。これから頑張るので、茅ヶ崎の人々に応援してもらえたら嬉しい」。序ノ口に番付が載る11月場所では「出世披露」も予定されている。前相撲では3敗を喫したが、地元の応援を背にこれからの活躍が期待される。
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