∇茅ヶ崎市内公立中学校の部活動における自転車利用が、今春から原則自粛となっている。昨年12月、自転車に乗って部活の遠征中だった生徒が車にはねられ、重傷を負った。中学生の事故は大小問わず毎年起こっていたが、昨年の事故を受けて各校の校長たちが協議。市教育委員会は安全面を考慮し、利用しない方向へと舵を切った。
∇市教委によると、県内33市町村のうち、すでに部活動での自転車利用を禁止しているのは23自治体。茅ヶ崎も春からここに加わる予定だったが、地域住民らで組織する「市まちぢから協議会」の3月の会議で、メンバーたちが利用禁止に猛反発。市教委は今年度の1年間を『試行期間』とし、状況を踏まえ来年に向けて再検討していくとした。
∇昨年までは休日の練習や試合で自転車を使えていた中学生だが、春先からはバスや徒歩に。生徒からは「自転車なら20分もかからないのに徒歩では45分」や「バスの運賃をお小遣いからやりくりするとキツイ」といった声が聞こえてくる。保護者からも「バスが通らない場所だと歩くしかなく、熱中症が心配」、「交通費が一気に増えた」など。車での送迎は認められていないものの「朝が早かったり、バスの時間が合わなかったりすると車で送迎せざるを得なかった」と漏らし、「自転車で行ってくれたらどんなに楽か」と復活を望む人が多い。顧問の意見は分かれる。自転車肯定派もいれば、引率する立場から「自転車より公共交通機関の方が安心」。
∇部活の移動でヘルメット着用は課されていなかった。通学時について言えば、市内で自転車が唯一認められている北陽中では、学校から自宅が2・5Km以上離れている生徒に対し、ヘルメット着用などを条件に利用を許可。36人がペダルを漕いで登下校する。全国を見渡せば、自転車通学が大半を占める学校では、通学でも部活でもヘルメット着用を義務付けるところもあり、安全を追求するなら当然のことだ。
∇近年増加する事故への対策として、一般市民に厚木市はヘルメット購入費を補助し、大和市は自転車保険料を代わりに負担するなど街ぐるみで取り組んでいる。茅ヶ崎の部活における自転車禁止に”待った”をかけたまちぢから協議会連絡会・後藤金蔵会長(72)は「ヘルメットや保険加入などの対策もある。もっと話し合って最善策を見つけてほしい」と願う。今回は中学生の話だが、街として安全な自転車利用について考える機会にもなり得る。地域住民の声によって得た”試行期間”に、利用の可否を決めるだけではもったいない。
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