皮や包装をむかずに食べる動画で話題の「むかない安藤」こと、安藤昌教さん(43・東海岸南在住)。活動7年目を迎え、「好きなことだけして生きていきたいと考えた末、行き着いたのが茅ヶ崎での暮らし」と話す安藤さんの“むかない”生き方に迫った。
安藤さんは、東急グループのイッツ・コミュニケーションズ(株)が運営するインターネットコンテンツ「デイリーポータルZ」の編集部で、取材・広告企画に携わっている。
「むかない安藤」は、動画共有サイトYouTubeの人気動画だ。安藤さんが、購入したさまざまな食材をそのままかじりついて食べる姿を約10秒間に編集したシンプルな動画だが、そのシュールさなどが面白いと話題を呼んでいる。
初回のゆで卵の殻をむかずに食べた動画は、2012年の公開以来、再生回数約5万回。以降2019年まで約7年、みかん、カップアイス、未開封のカントリーマアムなどに挑戦し、公開動画数は300を超える。ボツになった食材も多く「挑戦自体は全部で1000件以上かな」。印象深いのは「人間の限界を超えたと感じた」というハマグリ、クルミ。「ハマグリを食べるにはラッコも石を使ってますからね」
本気でふざけてギネス記録
「会社での僕の仕事はふざけること」と真剣な眼差しで語る安藤さん。「クラスで1人はいたお調子者、それが僕なんですが、大人がふざける時は本気でやらないといけない。でも本気でふざけると楽しいし、周りも面白がってくれる」
ライフネット生命保険(株)との広告企画の仕事で、かつて武井壮さんが保持した「1分間に何回ハイタッチできるか」のギネス記録に挑戦し、見事277回で記録更新に成功したことも。「自由にふざけたって生きていけるということを伝えるための活動の1つが”むかない安藤”」と安藤さんは微笑む。
原子炉研究者兼バックダンサー
愛知県出身。中学時代に弓道で全国大会を制したこともある。大学では流体力学などを学び、卒業後は科学技術庁の核燃料サイクル開発機構(現・日本原子力研究開発機構)の研究員として高速炉の研究・開発に携わっていた。「エネルギーなど、ないものを作り出す研究に関心がありました。むかない安藤も、『このまま食べたらどうなるか』という純粋な好奇心がきっかけ。興味あることに飛び込む精神は当時からずっと変わってないですね」と振り返る。
研究職と並行してカメラマンとしても活動していた安藤さん。アーティストの氣志團に衝撃を受け、ライブを撮影したいと連絡した。しかし、なぜか通された部屋はバックダンサー選考の場。「(綾小路)翔さんの悪ノリだと思うんですけど、ほかの参加者もいて、翔さんも見てて、なんかもう踊るしかなくて、必死に踊って。で、受かっちゃったんです」。ライブのために地毛をパンチパーマにするよう、綾小路さん直々の指示が出たことも。「職場の上司から真顔で『かっこいい髪型になったね』って言われました」
研究職の公務員とバックダンサーの二足のわらじという奇妙なライフスタイルを通じ、「面白いことをして生きていく」楽しさを実感した。「やりたいことがたくさんあったことに気付いたんです」と安藤さん。限られた人生の中でいかに多くやりたいことをするかという新たな目標ができた。
その後、研究結果で特許を得たことを機に研究所を退職。「大好きなサーフィンをするため」沖縄へ移住し、コーヒー店を開店。さらなる暮らしやすさを求めて7年前に越してきたのが茅ヶ崎だ。毎朝海で波に乗ってから出社するという念願の日々を送る。「茅ヶ崎はみな、それぞれ楽しそうに暮らしている。いい街」
「むかない安藤」という働き方
2人の子どもは小学生と中学生。「仕事場に子どもを連れて行くこともあります。反対に僕が学校を訪れると、『むかない人だ…』『むかない安藤だ…』って生徒が陰でざわざわします」。動画のファンには子どもたちも多いため、真似しないよう配慮しているという。
昨年は働き方改革が話題となった影響もあり、「むかない安藤という働き方」についての講演依頼もあった。「むかない安藤は楽しいです。こんな生き方でもいいんだって思ってもらえるとうれしいです」。ありのままの姿が1番だ。
|
|
<PR>
茅ヶ崎・寒川版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
<PR>