市内鶴が台出身の作家・佐川光晴さんがこのほど、『満天の花』(左右社、2300円+税、四六判上製、552ページ)を出版した。
この本は、2019年から1年3カ月、東京新聞などで連載した小説。幕末の長崎でオランダ商人と遊女との間に生まれた青い瞳を持つ「花」が、奉公先のオランダ人商館でオランダ語や英語を学び、通詞として外交に関わる。勝海舟とともに、日本や世界を舞台に新しい時代を切り開いた女性の姿を描いた。
「花」はモデルもおらず、佐川さんのオリジナル。幕末の時期、オランダ語と英語を使える人がほとんどいなかったため、「そうした能力があれば女性でも活躍できると思ったから花を登場させた」と話す。
日常生活に焦点
小説との本格的な出会いは茅ヶ崎北陵高校1年生の時。友人の勧めで吉川英治さんの『三国志』を読み、文字だけで人の心を動かす魅力にのめり込んだ。
大学卒業後は出版社を経て、牛の食肉解体の職についた。35歳の時、牛の仕事のことを書いた『生活の設計』でデビュー。日常生活で起きたことを「過不足のない文章で書こうと思っている」といい、『ぼくたちは大人になる』では自身の高校時代が反映されている。「小説では突飛な世界を作りたいわけではなく、きちんと暮らしていけるように」書いているという。
読者には「幕末と呼ばれている約15年をしっかり書いています。歴史の勉強にもなりますが、それ以上に面白く、わくわくする話になっています」とコメントした。
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