茅ヶ崎の伊勢海老漁師として、クラウドファンディングに挑戦する 田中 雄太さん 柳島海岸在住 38歳
伊勢海老に「夢」託し
○…長らく茅ヶ崎漁港の釣り船の船長を務めてきた。今夏、夢だった「伊勢海老漁」に専念するために漁師に転身。愛船『雄満丸(ゆうまんまる)』で海へ繰り出す日々だ。しかし、コロナ禍で市場価格が下落。「週末は江の島でキッチンカーを出して、しらす丼やサザエの販売もしているけれど、このままでは生活が厳しい」と肩を落とす。そんな中、クラウドファンディングの存在を知り、旅行・アプリ会社の協力を得ながら直販に挑戦している。「全国の人に茅ヶ崎の伊勢海老を届けられたら、うれしい」
○…小田原出身。3歳から大学までサッカーに打ち込んだ。プロサッカー選手を目指すも、怪我の連続で断念。そんな折に、友人の紹介で茅ヶ崎の釣り船に出合った。「最初は親が反対したけれど、船に乗ることが自分に合っていた。魚が獲れた時の達成感もいいよね」と日焼け顔で笑う。
○…伊勢海老の漁師として独立するには漁業権が必要だが、茅ヶ崎で取得できるのは2艘のみ。これまで組合の一員として積極的に雑務を引き受けていた甲斐もあって、幸運にも残り1艘を任せてもらえるように。「タイミングが良かった」と終始にこやかに語るが、「負けん気が強いよ。そうじゃなきゃ、荒波や先輩の漁師さんにやられちゃう」と笑う。
○…声を大にして訴えたいのは「密漁」について。転売目的やレジャー感覚で持ち帰るケースなど、被害が後を絶たない。「漁師の権利や生活を守るためにも絶対にやめて欲しい」。今後は市場や業者を介さずに、漁から販売までを一人でやっていくことが目標。「ふるさと納税や道の駅にも参加して、いろいろ展開できたら。いつか水産会社も作りたいね」。新たな一歩を踏み出し、夢は膨らむばかりだ。
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