市内2カ所で個展『COSMOS〜書も画も超えて〜』を開催する 石井 抱旦さん(本名 石井 忠さん) 中海岸在住 74歳
己を超え、新境地へ
○…前衛書家としての活動は半世紀になるが、茅ヶ崎での個展は30年ぶり。海辺のギャラリーには、宇宙空間「COSMOS」をはじめ、近年、熱を入れる4つの作品群が並ぶ。「これは書なのか、画なのか」。その型にはまらない作風や圧倒的な存在感は、見る者の深部へ強烈な何かを訴えかける。「今まで見たことが無い世界を楽しんでもらいたい」。やさしい笑みを浮かべる。
○…山形県寒河江市生まれ。石や土器・石器を採集することが大好きな子どもだった。「幼心にロマンを感じていたのかな」。時はちょうど、ガガーリンの有人宇宙飛行の偉業に沸いたころ。下ばかり見ている息子を見兼ねたのか、父親が夜空を見上げ「あそこに人が乗っているんだよ」と宇宙の存在を教えてくれた。「宮沢賢治の映画を見た時のように、怖いような、でも目を離せないような」。否応なく惹かれ、現在の宇宙感や創作の礎になっている。
○…大学卒業後、小学校教諭として茅ヶ崎へ。巨大バルーンや凧作り、LP版のレコーディングなど、体験や五感を重視した授業を展開し、教え子からは「先生から勉強を教えてもらった記憶がない」と評されるほど。「何かを教えるというのではなく、ともに育ち合うような感覚でしたね」
○…教員の傍ら、水越茅村、宇野雪村に師事。前衛書に傾倒し、一発勝負の大作に打ち込んだ。転機は、グランプリを受賞した42歳。「誰かの真似も、自分の真似もしない、新たなスタイルを」と突き詰めた末、書でも画でもない新境地を拓いた。国内外から高く評価されるも、未だ創作への熱は冷めやまない。「無心で取り組んでいると『こんなものが生まれるのか』という発見があって楽しいね」。己を超えた作を追い続ける。
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