意見広告・議会報告
県政報告【6】 第3回定例会で一般質問 神奈川県議会議員 山本 哲
神奈川県議会平成28年第3回定例会の一般質問で、黒岩知事並びに教育長、県土整備局長、環境農政局長に県政の諸課題を質問しました。
県内通訳ガイドの育成・確保の取組について
これまで、外国人観光客に対する通訳ガイドは、主に通訳案内士とボランティアが行ってきましたが、通訳ガイドの絶対数の不足は大きな課題であり、通訳ガイドとして観光に携わってこなかった高齢者や女性、学生など、多くの県民を巻き込む取り組みを今から考えておく必要があります。
そこで、ラグビーW杯及び東京五輪・パラ五輪大会の開催に向けて、本県におけるおもてなしの担い手となる通訳ガイドの育成や確保について、今後どのように取り組んでいくのか質問しました。
知事は「平成30年には通訳案内士制度の規制緩和もある。県内のガイド団体のうち、十分な活動実績があり、ガイドの研修内容も充実している団体を認定し、PRする制度の創設を検討している。外国人旅行者のニーズを把握し、プロモーションに活かすことも検討する」と答弁がありました。
高齢者人材の活用について
【1】生涯現役社会の実現に向けた取組について
本県の高齢化率は2050年には36・4%まで進むと予測されますが、定年後も元気な高齢者を多く見かけます。就労に限らずボランティアや地域貢献活動などに興味があっても、きっかけがなく一歩を踏み出せない人も多いと聞きます。
県ではこれまでにも「シニア・ジョブスタイル・かながわ」において、高齢者のライフスタイルに合った働き方を支援してきましたが、「生涯現役社会」の実現のためには、高齢者の意識改革と地域での活躍の場を広げることが重要だと考えます。そこで、どのような取り組みを進めていくのか見解を問いました。
知事は「県内11団体に呼び掛けて『神奈川県生涯現役促進協議会』を発足させた。関係機関が連携し、生涯現役社会の実現に向けた取組を推進していく。『生涯現役のための職業生活設計セミナー』の開催を検討する。コンシェルジュの設置も」と答弁がありました。
【2】高齢者の能力を活かした「かながわハイスクール人材バンク」の運営について
元気な高齢者には、これまでの人生で培った能力を活かしながら活躍してもらうことが期待されていますが、こうした方々は学校教育においても活躍が可能と考えます。教育委員会では平成27年度より「かながわハイスクール人材バンク」事業に取り組んでおり、高齢者をはじめ、様々な年代の人たちが県立高校でその能力を活かそうと登録していますが、高校側のニーズとのマッチングが難しいという問題があります。
そこで、この事業が始まって一年が経ったことを踏まえ、これまでの課題と今後についてどのように考えるか見解を問いました。
教育長は「登録者数に比べて活用が進んでいないのが実情。マッチングは教育委員会が行い、学校が直接登録者を選べないことが主な要因と考える。今後はマッチングについて工夫し、制度のさらなる周知に取り組む」と答弁がありました。
この取り組みは高齢者と生徒、双方の人生を豊かにするものであり、地域の教育力を高めることにもなります。この事業だけでなく、学校教育の様々な場面で高齢者に活躍していただき、よりよい教育環境につなげていくことを強調しました。
災害対策の強化について
【1】大規模災害時の多様な避難所の確保について
熊本地震では、避難所を避けて車中泊を行ったことが注目されまましたが、それ以外にトレーラーハウスやテント村など新しい形の避難所も設置されました。
避難所の設置運営主体は市町村ですが、膨大な避難者の発生が予測される本県では、広域的な観点から多様な避難所の確保に取り組むことが重要です。
そこで、トレーラーハウスの活用など多様な避難所を市町村と連携して確保していく必要があると考え、見解をうかがいました。
知事は「トレーラーハウスの利点は十分承知している。高額な点など課題はあるが、移動可能でプライバシー確保も可能。多様な避難所の確保について研究する」と答弁がありました。
また、一般の避難所についても生活環境の向上を図る必要があることを再質問した上で、車中泊などによるエコノミークラス症候群の発症や、高齢者の身体的負担などによる災害関連死をなんとしても防ぐ取り組みの必要性を要望しました。
【2】災害対応の体制について
災害対応に関して、県は広域的な立場で県域全体の調整を行うという役割ですが、指定都市市長会から都道府県知事に付与されている災害時の対応に関する権限の委譲を求める方針が表明されました。自衛隊の災害派遣要請など、緊急時の手続きの簡素化や災害対応の迅速化などを理由に、指定都市の市長に委譲すべき、というものです。
県域全体を見渡した広域的な災害対応に大きな支障が生じることはないのか懸念されるところですが、現行の国、県、市を通じた災害対応の体制についての見解をうかがいました。
知事は「県民のいのちを大規模災害から守るためには、広域的な観点での一元的な対応が必要であり、これをしっかり進めていくべきだと考える。災害は、一市町村に限定して発生することは稀であり、オール神奈川の体制を推進する」と答弁がありました。
【3】小出川河川整備について
寒川町を流れる小出川では、先の台風16号の際には、幸いにして家屋への浸水被害はなかったものの、平成26年の台風にともなう大雨では、未整備区間である寒川町の岡田地区で約80棟の浸水被害が発生しました。
こうした被害を防止するため、県はこれまで下流側から護岸工事や橋の架け替え工事に取り組んでおり、下流の水位を下げる効果のある遊水地の整備を計画していると承知しています。
住民を浸水被害から守り、不安を解消するためには、早期河川整備を進める必要があります。今後の取り組みについて見解をうかがいました。
県土整備局長は「ご質問の通り、護岸工事や橋の架け替えに取り組んでいます。遊水地については茅ヶ崎市の行谷地区を候補として選定し、設計や用地取得の段階」と答弁がありました。
小出川については「都市河川重点整備計画」に位置付け、重点的に整備を進めるとされています。引き続き、早期整備や、候補地が選定された遊水地の整備も含め、一層の整備の推進を要望しました。
また、小出川では毎年、彼岸花祭りが賑やかに行われており、多くの来場者を楽しませています。運営は地域の団体が担っており、このような取り組みをぜひ大事にしていただき、より一層の河川整備の推進を要望しました。
花き生産振興について
寒川町ではスイートピーをはじめ花の生産が盛んであり、若手の農業者が一生懸命に花の生産に取り組んでいる姿を見かけます。さらに寒川町では、ふるさと納税の返礼品に花を使っており、町を代表する産物であると認識しています。
一方、景気停滞や海外からの輸入増加、花の消費量落ち込みや価格低迷など、花き生産を取り巻く状況は厳しいと聞いています。
そこで、3月に策定した「かながわ花き振興ビジョン」に基づき、花き生産振興にどのように取組んでいくのか問いただしました。
環境農政局長は「生産者の経営の安定をはかるため、見栄えや持ちがよいなどの質の向上と、生産コストを下げることが必要。農業技術センターが、それぞれの経営形態にあわせてきめの細かい指導をする。暖房費の削減、肥料の節減など技術の普及も進める」と答弁がありました。
花き生産担い手の減少などが懸念されます。若手農業者の育成と交流の促進、地域ごとのニーズにきめ細かく対応するなど、花き生産の振興をより一層進めるよう要望しました。
これからも県議会での活動を身近なものと感じていただけるよう、少しでもわかりやすく、引き続き町民の皆様にお伝えして参ります。
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