創立60周年を迎えた「野ばら文化会」の会長を務める 土屋 トミ子さん 倉見在住 73歳
奉仕生きがい「おせっかい婆」
○…昭和30年代に「婦人の地位向上」を掲げて発足した野ばら文化会。短歌や詩を学び続けて60年と、数ある団体の中でも歴史は長い。最近は若手の入会者がなかなか増えず「改革しなきゃ」という思いに駆られている。10年前に自身が入会した頃、心の内にあるものを詩にして吐露することに「こんなのでいいのか」とためらいもあった。「ありのままでいいんだよ」。講師の言葉が今も背を押してくれる。
○…小動の農家に生まれ、よく両親に茶やおにぎりを届けた。父の名言は「人に優しく接すれば、お天道様が見ている」。寒川中を経て高校は聖園女学院(藤沢)へ。シスターのいる校舎や、憧れの可愛い制服、奉仕を大切にする校風に憧れた。進学を許してくれたのも父だった。日産の座間工場に就職した後、上司の紹介で同僚だった夫と結婚。ゆえに自家用車はずっと日産だ。3人を育てたお母さんのこだわりは、とことん一緒に遊ぶこと。網を片手に近くの小川でドジョウやフナを追いかけた。一面の田畑だった自宅周辺は、ここ数年で新興住宅街に一変したが、転入した人たちには「こんにちは」と積極的に声をかける自称「おせっかい婆」。民生委員を12年、国際交流協会での手伝いや介護施設でのボランティアも続ける。
○…詩作にふけるのは家族が寝静まったリビングで。指で五七五七七を数え、昼間の記憶をもとに作品に紡いでゆく。目久尻川の朝の散策路には詩作のヒントがたくさん転がっている。水面スレスレを飛ぶカワセミを見た朝は、一日中明るい気持ちでいられる。仲間と詩集を作り上げ、図書館や公民館などにも贈ってきた。その1冊には寒川で採れたての幸せがぎっしり。おすそ分けに余念がない。