70周年を迎えた寒川町婦人会の会長を務める 平本正子さん 倉見在住 73歳
作り続ける一婦人
○…発足が戦後まもなくという町婦人会。当時は女性向けのサークルなどもなく「お嫁さんになったら婦人会」という雰囲気があったらしい。現在の会員数は50人ほど。コロナ禍で制限はされたが、地道に動いている。小学校の通学路を仲間に歩き回り、消えかかった横断歩道を見つけたり、信号が必要と分かれば町に要望を出している。今は難しいが、子ども向けの料理教室を何とか再開したいという。「玉ねぎを刻んで涙している子が、本当に可愛い」としみじみ。
○…東京都葛飾区出身。サラリーマン家庭で、小さい頃は母の手製の服を着ていた。ミシンを踏む後ろ姿を見て育ち、自身も洋裁学校に通って服を縫うようになった。結婚を機に倉見に転居。夫・清さんの単身赴任をきっかけに婦人会に入り、一人になった時間を注ぎ込んだ。10年ほど前から会長を任されているが、70周年の節目に予期せぬコロナ禍が重なった。仲間と会う機会も限られるなか、何とか記念広報紙の発行にこぎつけた。自宅の玄関はレース作品や紙素材の編みかごが彩る。これらも婦人会活動の一面で、制作に没頭するという。
○…モノ作りが好きな人は料理も達者だ。北部公民館の料理教室には10年通い、食卓に還元してきた。とりわけ家族に好評だったのが鳥の唐揚げ。子どもの運動会となれば弁当に欠かせない。そんな朝はなぜか清さんが唐揚げ作りを買って出た。清さんは8年前に他界し、最近はスーパーで唐揚げを買うようになった。家の表札は今も「平本清」。車の運転は清さんの役目で、愛車のあった駐車場がぽっかり空いている。「夫の仕事だった草むしりをしなきゃ」。思い出を交えて笑い、口元を押さえるとキラリ、指輪が光った。