4歳まで寒川町に暮らしていたパラ水泳選手・田中映伍さん(19・東洋大学1年生)が、今夏フランス・パリで開催されるパラリンピックの日本代表に選出された。3月9日と10日に開催された選考レースの結果を受けたもの。田中さんは「選考会では本来の泳ぎができなかったので、パリで自分の力を出し切りたい」と話す。
パリへの切符をかけて、静岡県で行われた「日本パラ水泳春季チャレンジレース」に出場した田中さん。実は「1週間ほど前から眠れない日々が続いた」という。
初日は、昨年日本新をマークするなど得意の50mバタフライだったが「泳ぎはじめた瞬間に身体が重く、いつもとは違うと感じた」。
結果は自己ベスト(34秒47)から3秒近く遅い37秒12。「やばい、とパニックになった」
そんな時、支えになったのがともにパリを目指すライバルやクラスの異なる選手たち。「たくさんの人が『お前なら絶対に大丈夫』と声をかけてくれた。それでようやく『やるしかない』と開き直れた」。その日は試合の疲れもあり久しぶりにぐっすり眠れたという。
迎えた2日目の50m背泳ぎでは、自己ベスト(37秒05)に近い37秒43をマーク。この結果を受けて、「派遣B基準記録」を突破した50m背泳ぎでS5クラス(両下肢の障害や手足の欠損がある人が対象)の日本代表に決定した(本番では50mバタフライや50mおよび100m自由形にも出場する可能性がある)。
選考レースを振り返り「いい練習ができて、バタフライと背泳ぎともに自己ベストを更新できる手ごたえがあったので、今回の結果は不本意」と悔しさをにじませる一方で「代表に決まったこと、そしていまの時期にこの緊張感を経験できたことはよかった」とポジティブにとらえている。
今後は大学に近いナショナルトレーニングセンターで練習を重ねながら、海外遠征やフランス国内での事前合宿も予定されているなど、慌ただしい日々が続く。
出場を決めたことで、テレビ取材を受けるなど注目の高さも改めて感じている。「パリではチャレンジャーの立場。いま自分ができるパフォーマンスを発揮して、まずは自己ベスト更新を狙いたい」と話している。
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