アベノミクスを考える 河野太郎氏に聞く
Q.アベノミクスをどう評価しますか。
河野…民主党政権末期と今を比較するとGDPは512兆円から523兆円に拡大し消費者物価指数はマイナス0.2%から1.0%に転じデフレから抜け出しました。
Q.株価も政権交代で倍増しました。
河野…株価が上がったことで年金の積立金運用益が25兆円と大幅に増えました
Q.雇用はどうでしょうか。
河野…失業率は4.3%から3.6%へ、有効求人倍率は0・83倍から1・09倍へ改善しました。2014年第3四半期に新規で正規雇用された人数は08年第1四半期以来の高水準です。
Q.消費税8%への引き上げの影響は予想以上でした。
河野…日本経済の根幹は個人消費です。消費税の引き上げが個人消費にブレーキをかけたのは事実ですが、様々な経済指数が上向きですから、やがて日本経済も踊り場から抜け出ます。それを賃金の引き上げに繋げていくのがアベノミクスの目的です。消費税の引き上げはこれからの医療や介護、年金、子育て支援のために必要です。将来の社会保障を確実なものにするために消費税を引き上げられる経済環境を創りだしていくことが我々の役割です。
Q.日銀の金融緩和の影響で円安が進んでいます。
河野…円安は企業にはプラスの要素もありますが、資材や食料品価格の上昇というデメリットもあります。経済がデフレから脱却し、緩やかなインフレと共に経済成長が高まれば金利は上昇を始めます。デフレから抜け出す中で実質金利を抑え投資を促すため、また変動金利の住宅ローンの金利上昇への対応等のために、当面は金融緩和が必要です。
Q.企業への融資に個人保証を求めないようになるのでしょうか。
河野…中小企業に対する融資については、経営者の個人保証を求めない検討を行うこと等を盛り込んだ金融機関向けの「経営者保証に関するガイドライン」適用が今年2月から始まりました。今後こうした融資が拡大すれば創業も増え、中小企業の活力が引き出されていくでしょう。
貫くべき信念があります
Q.年金と原発については初当選のころから一貫して主張していますね。
河野…小泉純一郎元総理が自民党内の反対を乗り越えて郵政改革を成し遂げたのは初当選から実に32年後でした。国民のために必要なことは、私もしっかりと信念を貫きます。
Q.基礎年金を税方式にと言い続けていますね。
河野…国民年金の保険料納付率は4割以下です。厚労省は猶予・免除を分母から除いて納付率は6割と言いますが、年金保険料を猶予・免除されると将来の年金が少なくなり、生活保護を受けることになってしまいます。また国民年金の納付率が下がると厚生年金から基礎年金への拠出金が増え、厚生年金の年金額が減少します。最低限の年金を保障する国民年金は保険料方式ではなく税方式に改めるべきです。消費税を財源とする基礎年金ならば保険料の未納問題はなくなります。消費額に応じて年金の財源を負担する訳ですから、収入に関係なく一定金額を負担しなければならない現行方式よりも公平です。
Q.厚生年金はどうですか。
河野…厚生年金も少子化の影響を受けにくい積立方式に移行するべきです。現行制度は国民に信頼されていません。日本経済の柱である個人消費の拡大のためには信頼される年金制度の確立が必要です。
Q.河野太郎と言えば脱原発。原発はこのまま再稼働でよいのでしょうか。
河野…安全性を厳密に判断するのは勿論、再稼働の前に原発から排出される使用済み核燃料をどう処理するのか、国民的な合意形成が必要です。再稼働しても使用済み核燃料プールが数年で一杯になります。その後のことも考えるべきです。再稼働に必要な地元合意に関するルールを法律で明確にすべきです。
Q.河野さんは時間をかけて脱原発すべしという現実論者です。
河野…まず使用済み核燃料の再処理は直ちにやめるべきです。原子炉の新増設を行わず、既存の原発を運転開始後40年で廃炉にしていくと2050年に日本も脱原発を実現します。その間に技術革新で電力使用量を減らしながら化石燃料の中で最もクリーンな天然ガスで代替し、時間をかけて再生可能エネルギーを拡大していくべきです。各地で電力会社が再生可能エネルギーの接続拒否をしていますが、供給が需要を上回る状況になれば、連系線を利用して他地区に流すか接続を解除すればよいだけで、日本よりはるかに多くの再生可能エネルギーを導入しているヨーロッパでも対応できています。再生可能エネルギーは地域分散型エネルギーですから、地域でお金が回るようになります。地方創生のためにも再生可能エネルギーを中長期的にしっかりと拡大しなければなりません。温暖化対策として、中国やインドの旧式の石炭火力発電所を日本の最新の石炭火力発電で置き換えるべきです。輸出すべきは原発ではなく、クリーンな石炭技術です。
―ぜひこれからも信念を貫いてください。
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