2月21日に他界したライブハウス「レイン」(八重咲町)の店主、ハリー小川さん(本名/小川一美)=享年67=を偲ぶ会が14日、同店で開かれた。音楽仲間や常連客ら約50人が故人との別れを惜しんだ。
ロックボーカリストとして、音楽活動を生涯続けた小川さんは1971年、生演奏を楽しむ飲食店「対峙核」を虹ケ浜に開店。出演バンドや客は日に日に増え、同店を拡張してライブハウスレインを開いた。
ライブハウスがまだ珍しかった当時、小川さんは地元バンドマンに演奏の場を提供する一方、交友のあったプロミュージシャンをゲストに招くなど、ロックに憧れる若者の聖地として一時代を築いた。内田裕也さんやザ・ベンチャーズのノーキー・エドワーズさんら、多くの大物ミュージシャンが出演している。
現在の八重咲町には11年前に移転した。兄の阪仁さんによると、小川さんは昨年に肺がんを患ったが、歌声を失いたくないと手術を拒否。今年2月5日に入院するまで休むことなく店に出勤していた。歌うこともやめず、最後のステージとなった2月1日も力強い声を響かせていたという。
姉の田中富美枝さんは「病院に運ばれる当日も胸がひどく痛むと言いながら店に出ようとしていた。入院したら最後と分かって、少しでも長く店にいたかったのでは」と涙ぐんだ。
偲ぶ会の発起人で、40年来の付き合いの高橋登貴雄さんは「店で若いバンドが下手な演奏をすると、よく怒鳴っていた。それでも演奏に来る若者は上手くなったものです。口が悪くても嫌いになれなかったのは、彼に嘘がなかったから」と人柄を偲ぶ。富美枝さんも「心の中で感謝してもお礼が言えず、反対の言葉が出る。そんな弟だった」と振り返る。
当日の偲ぶ会は、国内ギタリストの名手、高橋マコトさんらが演奏。小川さんが生前こよなく愛した酒と音楽で仲間が最後の別れを告げた。仁さんは「死ぬまで好きな歌を歌って、皆に見守られて旅立った」としみじみと話していた。
レインは3月21日、22日、28日にも小川さんを追悼するライブを開催、今月で44年の歴史に幕を閉じる。問い合わせはレイン【電話】0463・24・3566。
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