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「西郷(せご)どん」で演技指導 市内和傘作家が瑛太さんらに

文化

公開:2018年8月23日

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平塚の工房で和傘を制作する杉崎さん
平塚の工房で和傘を制作する杉崎さん

 現在放送中のNHK大河ドラマ『西郷どん』で、高浜台在住の和傘作家・杉崎英紀さん(49)が撮影用の和傘を提供し、出演者らに演技指導も行った。現代では珍しい和傘職人として、日本の心やものづくりを今に伝えている。

 杉崎さんが携わったのは物語序盤、西郷隆盛の盟友で、瑛太さん演じる大久保利通をはじめとする大久保家が内職で傘張りをするシーン。関東近郊にいる和傘作家として制作の目に留まり、昨年7月から撮影に参加した。「ピンと空気がはりつめ、特に瑛太さんは役に入り込んでいた」と現場の様子を語る杉崎さん。

 和紙を張る以外にも傘を開く、畳むなどの動きが自然に見えるよう、瑛太さんほか藤真利子さんや黒木華さんなど出演者に演技指導したという。撮影は朝9時から始まり、深夜3時に及ぶことも。

 「撮影の裏側が見れて面白かった。うっかりカメラに写ってしまい注意されたことも、いい経験になった」と笑顔で話す。

 杉崎さんは小田原市出身で大学卒業後、小田原市役所に勤務。石川県金沢市を旅した際に老齢の和傘職人に出会い、その生きざまに心を奪われた。

 「一度きりの人生だから、好きなことをしたい」と一念発起し、39歳で市役所を退職。大分県中津市にある和傘の伝統を守る有志の会「朱夏」で技術を学び、2009年に茅ヶ崎市で「湘南和傘 英遊」を立ち上げた。昨年3月に工房を平塚市に移し、技術に磨きをかけている。

 伝統を守りつつも個性的な杉崎さんの和傘は、海外からの受注もある。「大手町和ルミネーション」への参加や障害者アート作品への制作協力にも取り組んでいる。杉崎さんは「1本作るのに手作業で約2カ月かかるが、状態が良ければ10年はもつ品。飾るのではなく、使ってこその和傘。日本の伝統工芸の灯をつないでいきたい」と語った。

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