平塚警察署の第67代署長に就任した 春田 政之さん 警視正 57歳
平塚の治安守る「現役学生」
○…毎年のように訪れた七夕まつりの情景は、今でも鮮明に覚えている。華やかに始まり瞬く間に訪れる祭りの終幕は、いつも切なかったという。あれから半世紀。平塚警察署の舵取り役として思い出の地に戻ってきた。着任した9月5日には、「まずは市民第一、そのために署員同士で助け合おう。そして自分自身や家族を大切に。美しい平塚の安全を共に守り抜こう」と訓示した。
○…横浜の母子家庭に育った。小中学校では柔道で腕を鳴らした。そのころから読書家の一面も持ち合わせ、洋の東西を問わずあさった書籍の数々に好奇心を刺激され「広い世界が見たい」と大学進学を志した。しかしアルバイトに励むも、必要な入学金と授業料を確保できず受験を断念。高校卒業後は知人の勧めで警察の道に進んだ。
○…警察学校で勤勉な姿勢が評価されると、警察大学校で外国語を学ぶ機会を得た。その後は主に国際捜査や国際テロ対策の分野を渡り歩いた。5年間にわたり海外で邦人の安全警護にあたったり、教養課長として県警本部で通訳職員の育成に携わったこともある。こうした経験から「地域の治安を考える時、私はそこに暮らす多種多様の人たちを想像します。お互いのちょっとした違いを分かち合える『多文化共生』を実現した平塚になれば良いなと思います」。
○…55歳で一念発起し、早稲田大学に入学。人間環境科学科の通信教育課程に在籍し「多文化共生」について学んでいる。「大学進学は10代の時のやり残しでもありましたが、あくまでこれから先に向けた準備のためです。定年後はこれまでの経験を生かしながら、地域に少しでも貢献したいですね」。明け方、レポート提出に追われるそんな”大学生”を妻と2人の息子たちは誇りに思っている。
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