茅ヶ崎市在住の会社員、添田一信さん(56)が、自宅の整理中に90年前の相模線を描いた「沿線案内」を見つけた。現存していない四之宮駅の駅表示など、まだ同線が私鉄だった戦前の風景をとどめる資料で、祖父の良信さん(故人)が入手したものと思われる。
同様の案内図は100年前の開通(1921年)から5年後、7年後に発行されたものも現存している。この図には90年ほど前の全線開通後の様子が描かれ、茅ヶ崎駅前には「相模鉄道(相模線)」本社が見て取れる。相模川には、馬入橋しか描かれていない。
寒川駅から伸びた支線の先には「四宮」(四之宮駅)の表示も。支線ができた頃(1922年)は砂利の需要が高く、相模川で掘った砂利を四之宮駅から出荷していた。駅は銀河大橋近くの土手付近にあったらしいが、終戦前に廃線となった。
四之宮の名は開通当時この付近にあった旧大野村(のちに平塚市に編入)の飛び地にちなむ。飛び地ができたのは川の流れが変わったことが要因とも、村民は船で飛び地の畑に通ったともいわれる。飛び地は1955年の境界変更で寒川町に編入され、暮らしていた7戸35人が大野町民から寒川町民になった。
絵図を見つけた添田さんは「長い積み重ねがあって今があることを改めて実感しました」。路線図の入っていた衣裳箱からは古いバス路線図や絵葉書類も見つかったという。(取材協力・寒川文書館)
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