神奈川大学は湘南ひらつかキャンパス(土屋)の学部移転後の跡地について、売却する方針を固めた。市議会の質問で平塚市が答弁した。神奈川大学は本紙の取材に応じ「7月の理事会で売却する方向で進めることが了承された」と明らかにした。
大学施設として存続か、売却かー。これまで態度を保留していた湘南ひらつかキャンパス跡地について、神奈川大学は初めて「売却」という方向性を示した。市議会9月定例会の総括質問で諸伏清児氏(清風クラブ)と臼井照人氏(しらさぎ・無所属クラブ)の質問に市が答えた。
7月に就任した神奈川大学の新理事長・石渡卓氏が8月24日に落合克宏市長を訪ね、湘南ひらつかキャンパスは売却の方針であることを伝えたという。大学は本紙の取材に応じ、売却の方針は事実と認めた。7月の理事会で決定したという。10月に地域住民向けの説明会を予定していることも明らかにした。
湘南ひらつかキャンパスは1989年(平成元年)に開設。校地面積は30万9510平方メートルで、東京ドーム約6・6個分の広さ。校舎は1号館〜14号館あり、野球場やサッカー場、陸上競技場、プール、テニス場などのスポーツ設備も備わっている。経営学部と理学部があり、約4000人の学生が通っていた。
大学は2017年4月にみなとみらいキャンパスを開校する計画を発表し、それと同時期に湘南ひらつかキャンパスにある経営学部と理学部の移転も発表していた。経営学部は21年4月にみなとみらいへ移転済み。現在は理学部が残っており、約1500人の学生が通っているが、来年4月に横浜キャンパス(神奈川区)に移転する。
「土屋の誇り」喪失住民困惑、売却先は?
神奈川大学湘南ひらつかキャンパス跡地の売却は、地域住民の生活に大きな影響を与えそうだ。
土屋地区自治会連絡協議会の会長を務める石井正昭さん(80)は「大学があるってことは土屋の『誇り』だった。何かしらの形で残ってくれると期待していたが非常に残念。学生がいなくなるまであと半年しかない。もっと早く情報がほしかった」と話す。
石井さんが特に懸念しているのは売却先だ。「怪しい宗教施設や迷惑施設が来るのは勘弁してほしい。ただでさえ土屋は廃棄物の最終処分場や霊園を受け入れてきた」と訴える。平塚市の津田勝稔企画政策部長は議会答弁で「(大学側から)具体的に決定した事項はないと聞いている」とし、「地域住民の安心安全な生活環境を確保することに配慮した利活用をしていただくようお願いしている」と述べた。
大学が位置するエリアは市街化調整区域。都市計画法第34条第10号イ(現在は廃止)の条文を用い、「大学」のみに建物の使用が認められている。大学以外への売却には「用途変更」という高いハードルをクリアしなければならない。
住民の足であるバス便への影響も懸案事項だ。同大キャンパスにはバスターミナルが設置されており、大学側は「大学がキャンパスを保有している間は、バスターミナルの使用を許可する」としている。しかし学生不在で減便は避けられない。神奈川中央交通の協力で路線廃止は当面の間は回避されたというが、将来的な不安は残る。
今後の対策のために、土屋地区の住民で対策委員会の立ち上げを模索しているという。石井さんは「神奈川大学も交えて将来的なまちづくりに向けて話し合っていきたい」と話す。
|
|
|
|
<PR>
平塚・大磯・二宮・中井版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
<PR>