商売繁盛のご利益があるとされ、年末の酉の市では縁起物の熊手などの露店が並ぶ大鷲(おおとり)神社(市内平塚)の社が、このほど平塚八幡宮(同浅間町)の境内に移された。長年にわたり同神社の管理を担ってきた地元住民の高齢化が進み、維持が困難になった。関係者の要望に八幡宮が応える形でかなったご神体の「引っ越し」。社は夫婦和合や良縁成就の象徴とされる「連理木(れんりぼく)」の近くに移され、新たな歴史を刻んでいる。
大鷲神社は大鳥公園の一角にあり、「おとりさま」の愛称で親しまれている。付近に住む女性らで組織する「奉賛会」が境内の清掃などを続け、11月に行われる酉の市にも関わってきた。
メンバーによると、奉賛会は少なくとも半世紀前から活動しているという。しかし、近年は会員が5人に減少し、高齢化にも悩まされるなど神社の継続的な管理が課題だった。以前から他の神社に管理を依頼することを模索していた中、縁あって八幡宮が引き受けることになった。
良縁成就の象徴にも
ご神体は昨年12月5日に八幡宮に移され、13日に遷座した。社は八幡宮境内で発見された「連理木」のそばに設置。22日には遷座を祝う奉祝祭が執り行われ、奉賛会のメンバーと八幡宮の氏子総代などが参列した。
異なる2本の樹木から伸びた枝が融着した連理木は、その状態から良縁成就や夫婦和合の象徴としてあがめられている。八幡宮では昨年5月、東御池のほとりでエノキとタブノキが融着した連理木が見つかり、参拝者などに紹介する方法を思案していたという。
そこに舞い込んだ同神社遷座の打診。八幡宮の宅野順彦宮司は「社を異なる神社に移すのは非常に珍しいこと」と話し、不思議な縁で引き寄せられた社は連理木の近くに祭るのがふさわしいと考えたという。
神事に参加した奉賛会の女性らは、「長年後継者不足に悩んでいましたが、これで一安心」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。恒例だった酉の市は、今年から八幡宮の境内に会場を移して実施していく予定だ。
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