日本の近代登山の第一人者で、晩年を平塚で過ごした岡野金次郎氏(1874〜1958)の人生を辿った書籍『孤高に生きた登山家 岡野金次郎評伝』(山と溪谷社)を、平塚市在住の鈴木利英子さんと娘でノンフィクション作家の遥さんが9月25日に出版した。
横浜で生まれ育った岡野氏は、関東大震災をきっかけに娘が住む平塚に移り住んだ。謎に包まれた人生だが、平塚では散歩を日課として馬入大橋から富士、箱根などの山々を眺めるのを楽しみにしていたという。
親族が全面協力
2011年に市内で開催されたノンフィクション講座を初めて受講した利英子さんは、「文章は書けなかったけれど、娘がノンフィクション作家だったので興味を持った。お題が平塚市ゆかりの人物だったので、山好きの夫から話を聞いていた岡野さんを題材にした」と振り返る。
山岳書やインターネットの情報を基に原稿を膨らませ、講座の仲間と13年に冊子に仕上げたところ、縁あって岡野氏の親族にも読んでもらえた。「とても喜んでくださった。日記をはじめとした膨大な資料を提供してくれたので、自費出版でもいいので書籍化したいと思った」。本格的に始動したのは18年。利英子さんから相談された遥さんは「日本の山岳の歴史とご親族の証言を組み合わせ、事実関係の検証を重ねた」と話す。
利英子さんは「ご親族も望まれた本。完成したのはみなさんの熱意があったから」と感謝を述べ、「登山好きの人もそうでない人にも知ってもらいたい」と話した。
同書籍はサクラ書店ラスカ平塚店、サクラ書店高村店、有隣堂ららぽーと湘南平塚店、文教堂平塚店のほか、茅ヶ崎市や横浜市の一部書店、Amazonなどのネット書店で販売している。
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