五領ヶ台貝塚の発見など、平塚の考古学の発展に寄与した研究者・森照吉(1873―1949年)。その唯一の著作『趣味乃中郡史』を後世に残そうと、金目エコミュージアム(米村康信会長)の有志が集い、このほど出版に至った。
森照吉は南金目の生まれ。中郡を中心に遺跡の発掘に取り組み、収集物は縄文式土器や弥生式土器など総数434に上る。著作では先史時代の遺跡の状況などに加え、自身の考えやどのような人と行動したかなど日記のような記述も見られる。金目公民館の図書室の奥に保管されていたが、読解が困難で半ば忘れ去られていた。
編集に携わったのは窪田一夫さん(71)、添田吉則さん(85)、露木正巳さん(71)の3人。元原稿はガリ版刷りのコピー本で、文字起こしは照吉独特の言い回しや造語、読めない箇所などが多く難航した。解釈が分かれる項目も多岐にわたり議論噴出。窪田さんは「原文を尊重するか、正しい情報に直すか判断に苦労した」と振り返る。
着手から発行まで1年半の大事業。しかし、本書を読むと、当時の照吉の姿が見えてきた。「照吉が私の祖父の家の敷地で発掘したという言い伝えと合致する記述が見つかり、とても身近に感じた」と添田さん。露木さんは「資料的な価値はもちろん、照吉の人柄もにじみ出た一冊になった」と話した。
同書は市図書館、博物館などに配付。金目公民館で販売もしている(1部500円)。
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