NPO法人神奈川県中途失聴・難聴者協会理事長の 森 友彦さん 二宮町中里在住 72歳
聞こえづらさに寄り添って
○…中途失聴・難聴者の社会的認知を広げることを目的に活動するNPO法人神奈川県中途失聴・難聴者協会で2017年から理事長を務める。約100人の会員らと会報の発行や利用できる支援の紹介などを行ってきた。「中途失聴や難聴は、人によって聞こえづらい音や聞こえる度合いが違う。認識されづらい障害で、孤独を感じる人も多い」。要約筆記や補聴器、人工内耳、ヒアリングループといった配慮があれば普通に生活できる人も多く「手話を使う『ろう』の方とは異なる聴覚障害者の存在を健常者の皆さんにも広く知ってほしい」と話す。
○…冬には氷点下30度以下になる、北海道名寄市出身。「鼻で呼吸すると凍ってしまうようなところ。そんな気候が根性を育ててくれた」と笑う。2歳頃に患った中耳炎がきっかけで難聴となったが、聞こえづらさに気づいたのは小学校に入学したとき。「出欠の際にモリヤマさんが呼ばれているのに、自分の事かと思って返事してしまった。周りの反応から、聞こえないことは恥ずかしいことなんだと、隠すようになった」
○…地元高校を卒業後、大手電機メーカーに就職し川崎へ。陸上部に所属し、県実業団駅伝などに出場。仲間と汗を流した。「補聴器をつければ普通の人と変わらない聴力を保てた。多摩川の河川敷に集まっては練習して楽しかった」。卓球や登山にも打ち込む「スポーツ好き」だ。
○…加齢もあり、電話が聞き取れなくなったことをきっかけに55歳で早期退職して二宮町に移り住んだ。現在は補聴器をつけて生活し、会議などの際に要約筆記を依頼する。「自分で聞こえづらいことを伝えるのは勇気がいる。聞こえないと言わなくていいような社会になったらうれしい」
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