大磯町では、町の面積の3分の1を占める森林の整備を、「林業」として有志の町民たちが担っていく仕組み「自伐型林業」に取り組んでいる。県内では先駆的な事例だといい、町産業観光課の弘重穣さんは、「厄介者だった森を資源として活用する好事例だと思う。今後は森の所有者と整備の担い手とをマッチングする仕組みを作っていきたい」と話す。
大磯町内の森林は、ナラやクヌギ、シイなどの高度経済成長前まで薪や炭に使われていた広葉樹が9割を占める。人の手が加わることで適度な里山環境を保っていたが、近年では整備の担い手も不足し、放置状態が続いていた。倒木や、農地の日照不足、イノシシなどの獣害が課題となっていたという。
そこで大磯町が2018年にスタートさせたのが、兼業や副業を前提とした規模の小さな「自伐型林業」だ。補助金など行政に依存しがちなボランティアではなく、薪の販売などで収益を上げながら活動できるのが特徴。「都心からも近い別荘地でもあり、薪を使った暮らしをしている人がいる大磯町の特色を生かせる」と弘重さんは話す。現在、林業研修を受けたメンバーが活動する「薪屋大磯」が、まちの資源を守りながら整備を担っている。
弘重さんは、森林所有者を明らかにするなど行政の介入が必要な面も多々あるといい、「まちの課題解決に届くように、自伐型林業をもっと広げたい」と意気込んだ。大磯町役場1階ロビーで4月30日(水)まで、町内の森づくりを紹介する「森のある暮らしを楽しめる町へ」を展示中。
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