平塚市菓子商工組合の組合長に就任した 高橋 利治さん 中原在住 77歳
「甘い伝統」今に伝える
○…「雛人形にお供えする菱餅は、なぜ菱形をしていると思う?これは、女の子を災いから守るとされるヘビの鱗の形に由来しているんだよ」。日本古来の伝統文化である和菓子を広める市菓子商工組合は、市民プラザで毎年開く菓子展示会などを通じて、加盟店が腕によりをかける和菓子をPRしている。「展示会は、平塚に良い和菓子がたくさんあることを知ってもらう良い機会。張り切っている若い職人にも、どんどん表舞台に出てきて欲しい」と、市内で芽生える二代目、三代目の活躍にも期待を寄せる。
○…伊勢原の農家に生まれ、中学時代から平塚や東京の和菓子店で修業を積んだ。「小学生の時に両親を亡くして、手に職をと目指したのが和菓子職人だった。修行は辛かったけど、『店を持つんだろう?』という親方の言葉が励みになった」と往時を振り返る。修行を終え、30歳で念願の店「和菓子司たかはし」を中原に構えた。以来50年近く、地域住民に季節の和菓子を届けている。
○…店のショーケースには、熊笹の粉を使った看板商品「笹の香」や、中原の歴史にちなんだ焼き菓子「御殿」など、自慢の品々が行儀よく並ぶ。朝は生菓子、午後は焼き菓子と、仕込む種類は時間によって異なるという。「和菓子はとにかくデリケートな商品だから、その日の陽気によって微妙なさじ加減が求められる」と、経験がものをいう職人の世界を生きる。
○…現在は妻と息子夫婦の4人で、賑やかに店を切り盛りしている。後継者不足に悩む和菓子店も多いなか、「息子が同じ道を選んでくれたのは嬉しかった。二代目でも初代のような気持ちで、新しいことに挑戦してほしい」と優しい眼差しで見守る。上の孫は今年から中学生。自身の少年時代と重ね合わせ、「三代目?そうなってくれたら最高だね」と声を弾ませた。
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