タウンレポート 星空に魅せられて
「すべての星空を撮りたい」
市博物館で開催されている春期特別展「天の川銀河へようこそ」で、市内在住のアマチュア天体写真家・平川俊夫さん(65)が撮影した写真が展示されている。夢中で撮り続けてきた星空が、ひとつの形となって市民の目を楽しませている。
「最初は、理科教材に使えればと思って」。平川さんは、オーストラリアの中央部に位置するエルダンダと、長野県の八ヶ岳で撮影した360度の星空写真108枚を、30年来の友人だという市博物館の鳫宏道館長に提供した。
「全天の星空を撮りたい」という目標を掲げ、北半球の空は八ヶ岳、南半球の空はオーストラリアでそれぞれ季節ごとに撮影。すべての星空を、星の位置を表す赤道座標に沿い108区画に分け、くまなくシャッターを切った。撮影機材を自作するなど準備に20年、撮影には1年をかけて目標を実現させた。写真を受けとった鳫館長は「文句のつけようがない素晴らしい写真。撮影にはあらゆる手立てが尽くされていて、平川さんの強いこだわりを感じます」と話す。
108枚の星空写真は、鳫館長のアイデアで、天の川領域の写真を抽出してつなぎ合わせ、天の川銀河の1枚画像を作成。指で拡大・縮小を自在に楽しむことができるタッチパネル式のコーナーもあり、画面上の主要な星に触れると解説が表示されるしくみも施されている。23日と4月27日(午後3時30分〜)には、同館のプラネタリウムにも写真が投影される。平川さんは「私は材料を提供しただけ。料理人がうまかった。彼の包丁はよく切れるから」と笑う。
平川さんが天体写真に興味を持ったのは、中学生の頃。戦後アマチュア天体写真の第一人者である故・星野次郎氏の天体写真を見て「いつかこんな写真を撮ってみたい」と思ったことがきっかけだ。
大手自動車メーカーでエンジニアとして働きながら撮影に興じ、自宅の屋上に自ら設計して手作りの天文ドームを完成させるほど没頭。「お金よりも時間がほしい」と、40歳手前で通勤時間の短い会社に転職し、撮影に使える時間を増やした。「(前職を)辞めるときは周囲から反対されたけれど、悔いはない。子ども達が写真を見て天体に興味を持ってくれるだけで、すべてが報われます」。
特別展は5月6日まで(月曜休館)開催されている。
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