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横浜ゴム 未来技術遺産に登録 航空機用のプリプレグ

社会

公開:2014年11月13日

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当時のプリプレグ(左)と現在の製品(右)を見せる同社航空部品事業部員
当時のプリプレグ(左)と現在の製品(右)を見せる同社航空部品事業部員

 横浜ゴム株式会社平塚製造所(追分2の1)で生産されている「航空機構造用プリプレグ」が、独立行政法人国立科学博物館が認定する2014年度「重要科学技術史資料」、通称未来技術遺産に登録された。

 今回登録されたのは、平塚製造所に保管されている、1978年に同社が開発し、アメリカのボーイング社に国産で初めて認定された当時の航空機構造用のプリプレグのサンプル。

 プリプレグは、ガラス繊維や炭素繊維に樹脂を染み込ませたシートで、重ね合わせ加熱硬化することで繊維強化プラスチックを作る素材。航空機のほか、コンピューターの基板などで広く用いられている。プリプレグは自在に形作れる利点の反面、空気中に晒していると硬化し、使用できなくなってしまう難点もある。輸送には冷凍便が用いられるなど、扱いや使用に手間がかかるという。

ボーイング社国内初の認定

 認定された航空機用プリプレグの生産は、当時同社にとっても初の挑戦。着手したきっかけは、70年代、取引先企業からの「請け負っているボーイング社の機体部品製造で使用する材料を国内生産できないか」という依頼だった。

 既にコンピューター基盤など他製品用のプリプレグを生産していた同社だが、航空機用は未知の領域。航空機用製品に必要とされる「強くて軽くて燃えない」条件を満たす製品の開発に数年を要し、さらに2年をかけ、数百項目にわたる厳しい試験をクリア。同社航空部品事業部は「試験の際にエンジニアが直接シアトルのボーイング社へ数か月出向いたこともあったそう。ドキドキというよりドタバタだったようです」と当時の様子を振り返る。

 80年5月6日にガラス繊維を用いた製品がボーイング社から認定されたのを皮切りに、構造用と内装用計5種類の同社製プリプレグが認定された。

機体に乗って空飛ぶ平塚産

 製品は、現在でも認定当時と全く同じ成分・性能で平塚製造所で生産、使用されている。日本の機体メーカーで部品化された後、ボーイング社に引き渡され、羽のフラップや、機体と羽の繋ぎ目を流線型に整えるフェアリングなどに使用され、現在も機体は世界の空を飛んでいる。

 製品の認定以降、同社は航空機関係の生産に力を入れ、現在ではプリプレグの生産に加え、ボーイング737機の化粧室や飲料水タンクの製造なども請け負うまでに至った。同事業部は「今回の登録は先輩たちの偉業あってこそ。今後も環境への取組みも含め地域の方にも誇っていただけるような企業として発展に努めたい」と登録を喜んでいる。

 未来技術遺産は、独立行政法人国立科学博物館が、科学技術発達史の上で重要な成果を示す製品や技術を、次世代に継承していく目的で2008年度から実施しているもの。今年度は49件が登録。平塚市ではこれまでに、関西ペイント株式会社が製作したニトロセルロース系ラッカー「セルバ」の色見本帳、東海大学が所有する国内初のオールトランジスタ商用コンピューターが登録されている。

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